【逆さま】2
「…」
落ちていく。
落ちていく。
落ちていく。
それはもう闇の中へと。
沈むように。
さて、ウサギの後を追って穴へ飛び込んだまでは良いけれど…
「一体何処まで落ち続けるのかしら?」
まさか、このまま死んじゃったり…
「イヤよ!私にはまだまだ未来があるんだから!」
そう下に落ちながら後悔をし始めた頃。
ふわぁ-
「…あら?」
落ちていたはずの体は重力を失くし、私の体はふわふわとまるで風船のように浮き始めたのだ。
「そうね、これなら落ちても大丈夫そう」
底を覗けばまだまだ暗闇は続いてた。
さて、この先には何が待っているのか。
不安と少しの恐怖心。それに興味や好奇心、少しの興奮が私の心を軽くする。
次なる出会いが私を突き動かす。
【眠れないほど】
あなたに愛されたい。
【夢と現実】
これは夢?それとも現実?
…どっちでもいいか。
だって私は大好きな君に抱きしめられているんだから。
こんなに幸せなことがこれ以上あり得るのだろうか。
夢なら覚めないで。現実ならもっと強く抱きしめて。
【さよならは言わないで】
本当に愛していたのはあなただけ。
あなただけが私を飼い慣らせたの。
だけど、私の中から湧き出てくるこの泥々した感情、禍々しい憎しみ達。
それは何と、甘美なるものなのか。
私は光の世界を捨て、闇へと堕ちていく。
あの人を呪い、あなたを捨てた。
ただ、さよならは言わないわ。
だって、私の中にはあなたと私だけの愛の結晶が疼いているのだから-。
【光と闇の狭間で】
何のために私は生まれたのか。
全てのものが信じられなくなった。
我が主、あの神でさえも。
何故なのか?
生まれたあの日、ひどい哀しみと苦しみが昔の記憶のように私の中を支配していた。
"あの者を信じてはならぬ"
何処からか声が響く。
だが、不思議と恐ろしくはない。むしろ、安心と安らぎを私にもたらした。
その声は私が成長するごとに日々大きくなっていく。
私は常にその声にしたがい、周りに悟られぬよう振る舞い続けた。
来るべき日に備えて。
我が名はルシフェル。神を越える存在になり得る者。別の名をサタン-。