【飛べない翼】
いつからだろう。あんなにも不安も恐れもなく自由に飛べていたはずだったのに。あるのはもうボロボロになってしまった薄汚れた自分自身。純粋だったものはすでにズタズタに土足で踏み荒らされ元の綺麗なものに戻る勇気は霞のように消え失せる。どうしたって現状は変わらない。それでも立ち上がれと鼓動の奥で叫びが聴こえる。理想を掲げるばかりで現実を飛び続ける翼は今はまだ閉じたまま。傷付けて痛め付けてそれでも羽ばたこうともがき足掻いた結果飛び立つことが出来なくなった。そんな姿を視てもなおも暗闇に引きずり込む。辛い。苦しい。このまま消えてしまいたい。跳べ飛べ翔べ。脚が千切れようが腕が捥げようが、お前にはあの空を羽ばたくことでしか生きられないのだから。
【ススキ】
神様、ボクはいつになったらあなたにこの想いを伝えることができますか?
いつもはきらきら光る星ぼしたちも今宵は夜空を舞うのはやめて、暗闇照らすは月の優しい輝きだけ。
誰もがあなたに恋い焦がれる。
思わずこのてを伸ばしてみても、それがあなたに触れることは赦さない。
ボクの朱い瞳はいつだってあなたしか映してはいないのに。
あなたは、誰にだって恩恵を与え、微笑みを絶やしはしない。
ボクが求めているのも心通じたいのもあなただけだというのに。
【脳裏】
それは心に焼き付いて離れてはくれない。前世の記憶。私が現在(いま)の私になる前の私。男と女、人は元々1つの球体だったと学校の授業で聞いた。前世から現世に転生した際、私達は、私の半身、片割れは切り離され今も何処かで生きている。残念ながら私はまだ出逢えていない。それは何年も何年も探しても見つけられない場合もあるそうだ。できれば自分が死ぬまでには出逢いたい。
【意味がないこと】
あなたの前でいくら涙を流したとて、あなたはなにも感じはしないのだろう。気にかけてもらえるのはいつだって素直で可愛くて華奢などこか儚げで守ってあげたくなる女の子。もう女の子ではなくなってしまった私は、あなたにはきっとどうしようもなく惨めで醜い女にしかその瞳に写されていないんでしょうね。その娘を真似て自分を傷つけても、軽蔑と嘲笑の視線が私の心を抉るだけ。私はあなたの気を引く術を知らぬまま、歳ばかりが過ぎただけだった。
【あなたとわたし】
あなたはいつだってわたしを優しく照らしてくれる。あなたがいなければわたしひとりでは輝くことができない。青空広がる世界にあなたがいて、夜空輝く世界にわたしは存在する。あなたとわたしが交わることは滅多にない。あなたは自ら光と熱を発し地球上の生けるものたちに生命を芽吹かせる。その輝きはわたしにとって眩しすぎた。わたしの世界はいつも暗闇と静寂に覆われていた。だから余計求めたくなるの。あなたはわたしの明月。