NoName

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4/19/2023, 12:47:23 PM

もしも未来を見れるなら

「大きくなったら何になりたい?」
 突然、友人が聞く。昼間の授業で将来の夢について話していたのが原因だろう。
「別に…何も。」
 私の将来は決まっている。5年後の火事で全てを失うのだ。私は生まれつき未来が見えるのだ。一度も外れたことはない。
 友人は不満そうに顔をふくらませる。
「え〜。それじゃつまんないよ〜」
「じゃあ、未来がどうなるか決まってて、それが絶望しかないと知ってたら、どうする?」
 思わず問いかけてしまった。
「その後どうするか考える」
 ケロッと言ってのけた。
 そういえば私は起こった未来をただ受ける入れるだけで、その後の事は考えたこともなかった。
 

4/18/2023, 2:14:25 PM

無色の世界

「まずそう…」
 午前の授業が終わり、弁当を開くとなんとも食欲のそそらないメニューだった。彩りがないのだ。定番の日の丸に卵焼き、唐揚げ、ほうれん草と人参のサラダ、ミニトマトとデザートにオレンジゼリーまで入っている。入っているのに、だ。トマトを摘みつつ、窓の外に目をやる。うっすらと灰色掛かった快晴の空だ。雲一つ存在していない。真っ白な太陽が世界を照らしている。
 その日、世界から色が消えた。