やわらかな光
携帯の目覚まし音、ロボットのようなコンビニの応対、換気扇や空調が奏でる無機質、走る自動車、学生たちのバカ笑い、、、一日の始まりから終わりまで、自分でも気づかないほど小さな、硬く尖った小石ような不愉快は、いろんな音や形に化けて四方八方から問答無用にとんでくる。ココロの中に積もっていく。
どんなにココロに平穏を言い聞かしても、どんなに無関心を決めこんでも、何処かに何かしら不愉快を感じない事なんて、、ない、、、
ココロガヒトヲスキニナルマデハ。
微かに揺れるレースカーテンの前
で、安堵と安心を浮かべた寝顔で、幸せそうなうたた寝を透して見えるこの日常は、どんなに眩しい朝の光や、寂しさ溢れる夕方の光も、この変わりばえしない窓の外や、街の喧騒も、全部がやわらかな光にみえてくる。
やわらかな光に包まれる度に、張り巡らしたココロの防御が剥がれ落ちていく。
やわらかな光に包まれる度に、崩れかけた、ココロが支えられる。
やわらかな光に包まれる度に、人を好きになる事の素晴らしさを、ココロが思いだしてくれる。
あなたは誰に、やわらかな光をもらってますか?
あなたは誰に、やわらかな光をあたえてますか?
放課後
なんで、まだいるんだろう?
なんで、グラウンドの方見てるんだ?
なんで、、、?
この世にこんなに可愛い子が存在している事に衝撃を覚えて2年と半年。
登校する意味の95%は確実にその存在が占めている。
いつもの練習に全くついていけない。、、、なんで?、、、あれ?サッカー部?、、、サッカー部を見てる。
なんで?、、、まさか?いや、ウソ?
なんで、、、、?
校舎を出て、駅まで向かう真っすぐの歩道、少し前を同じ方向に歩いて行く二人の後ろ姿。なんで、、、。
あんな笑顔初めて見た。
こんなに誰かを思う事が嬉しいなんて。こんなに誰かを思う事が辛いなんて。
初めて知った。
初めて見る、あの笑顔、、、。
あの日の放課後から止まったままの時間を、、、あの日からいくつもの偶然と偶然を演じた必然で、たどり着いたこのときに、、、全てを。
内ポケットを何度も何度も確かめる。小さな箱の中で、小さな瞬きを放つ給料3ヶ月分。
あの日の放課後と同じ、喧騒と夕暮れの待ち合わせ10分前。
何度もココロの中で繰り返す、、、。
僕と結婚してください。
ナリスケ
カーテン
やっと今週も半分過ぎた。
体力的には全然元気なのに、静まったいつもの部屋に帰った瞬間、また声に出してしまった。
「あぁ、、、疲れた。」
動く気にならない。洗濯、夕飯、シャワー、、、気がめいる。
「、、、ヨシ、やるか」
カーテンをしめ、完全なるパーソナル空間に安堵する。
明日から今週も後半だ。
頑張ろう。
今日も明日も明後日も。
ナリスケ
今更とか、何度もとか、いつものこととか、、、最後には、いつも自分のなかでは当たり前の出来事として着地する。
金が無い。