にんげん

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5/4/2024, 10:28:55 AM

耳を澄ますと、何者かの声が聴こえてくる。

『何故世界はあるのか』
『何故人間は生きるのか』
『何故人は自殺するのか』
『何故人間は死ぬのか』

そんな事をまた何者かが答えを返す。

『そんな事考えたって君に利益は無い』
『死ぬ為に生まれてきたんだろう』
『地獄から逃げたいだけだろう、地獄に堕ちるだけなのに』
『たまたま、産まれてきたから』

そんな答に私は、納得をし、イヤホンで耳を塞ぐ。

耳を澄ますと

5/3/2024, 11:01:20 AM

夜、寝る前に、妹ととある話をする。
時には、妹の相談。
時には、親の愚痴。
時には、遊ぶ約束。
色んな話をする。
真っ暗な中で、ひそひそ話が繰り広げられる。
親の足音がしたら、二人一気に布団に潜って、寝たフリをする。
バレているんだろうなと私は思うが、小さい頃から寝たフリをするのが、染み付いている。
足音が止んだら、またひそひそ話が始まる。
ある程度、済んだら「おやすみ」と言って、二人は目を瞑る。

私は、妹にしか話さない話が多い。妹もまた、私にしか話さない話ばかり。
この時間だけは──

二人だけの秘密

5/2/2024, 11:46:59 AM

人間は裏切るものだと分かったのは、三度目に裏切られた時だ。

一つ目は、遊ぶ約束をしていたのに別の友達と遊んでいた時。
二つ目は、仲良かった友達同士が、私を置いて二人きりで遊び出した時。
三つ目は、手紙を交換し合うほどの相手だったのに、いつしか『死ね』と書かれる程の相手になった時。

どの人間も許そうなんて思わない。来世まで呪ってやりたい。
人間は、裏切る。

だからこそ、優しくしてくれる君が信じれないんだ。

優しくしないで──

4/30/2024, 12:38:35 PM

暗い部屋の中、手に持っている液晶の中にシャープな輪郭に、ぱっちり二重の目、整った高い鼻の少年が、楽しそうにお話している。
時々、真っ暗になる時、自分の顔がうっすらと映る。
丸い輪郭に、一重の目、潰れた鼻。
比べる値までにいかないほどの、ブスさ。

楽園だったのに、地獄になった。

楽園

4/29/2024, 10:42:30 AM

『頭が良くなりたいな』
本を読む私の膝の上で、愛猫はすーすーと寝息を立てる。
澄み渡る空は、太陽と共に世界を明るく包む。
洗濯物が、風の流れに身を任せている。

風が止み、愛猫は目を開ける。何かを思い出したかのように、私の膝から降りて、日向ぼっこを始める。
雲ひとつない空は、太陽がよく愛猫を照らしてくれる。
読んでいた本を閉じ、昼ご飯の準備を始める。


「周りに流されない、偉い」
テストの点数を見ている私に、一人の先生が言う。他の生徒達は、お互いの点数を見せ合い、競り合っている。
私の点数は、他の人より良かった。自慢出来るほどの点数だった。
窓からの光は、見せ合っている生徒達を照らす。
私は、先生の言葉に身を任せている。

私は洗脳から解けた。ただ、自分の好きなように勉強したいだけなのに、先生によってプレッシャーを押し付けられる。
雲で覆われた空は、私の心を再現しているようだった。
閉じていた本を開き、勉強の準備を始める。


風に乗って

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