ぺんぎん

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9/15/2023, 1:03:02 PM

産まれてまもない子猫がするような、かるく、その日のうちに忘れてしまえるような、挨拶がわりの口づけをしたい、ふにとやわらかく、ただきみのくちびるに触れる口実として

9/13/2023, 7:40:42 AM

胸がすうと冷えた。もし、きみをふと、なにかの景色と一緒に思い出して、つぶれるほどの痛みにかち合ったら、わたしはどうすればいい。これからきみが生きるうえで、ふれるもの、出逢うものに立ち会えない苦しみを、だれに打ち明けたらいい。きみがあっという間に奪っていったものは、だれにも埋められないのだ。ひどい痛みに打ちひしがれて、それでもきみを永遠に失うことだけはきまっている。

9/2/2023, 2:56:40 PM

きみのせいでもう二度と口にできない、カップアイスを思って、つめたい舌を指の腹でこする。きみが食べさせてくれたひとくち、その甘さとおぼれたくなるやさしさをおぼえていて、いまもなお立ち止まったままなのはきっとわたしだけ。羽をむしられたせみのように、きみがわたしを守ってくれなくなってから、どこで眠っても体が痛い。うずくまる。

8/30/2023, 4:06:01 PM

ベッドにもぐり込むと、まだきみのにおいがたちこめていて、すべてのことがくるしい。昨日をあいしても意味がないということ、脚の指の一本一本にキスしてくれたくちびるの輪郭だけ思い出す。もうそこにはすでにきみはなかった。

8/29/2023, 1:06:14 PM

夏の去りぎわのにおいが、そこらじゅうであふれてつめたくて、ついきみと過ごした冬を思い出した、自分の首からもいだマフラーをそうっと掛けてくれたときの、柔軟剤のにおい、きみそのもののにおい、ささやかな体温、白い息、赤くやわらかな布の繊維、心がつめたいといつも思い返す、きみのくれたかけがえのないかがやき

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