カップにハーブティーを静かに注ぎ、カップを持ち上げ口に運ぶ。カモミールの良い香りが鼻をくすぐり、ほうっと息をつく。
窓の外を見ると暗い空から雪が降り出しているのが見えた。
明日の朝には積もっているだろうか。そう思い明日履いていく靴を雪の日用の靴に変えた。
オルゴールの蓋を閉めるとずっと鳴っていた音楽が止まり、部屋を静寂が包み込む。
ベッドに横たわり、分厚い布団を頭まで被ると眠気が一気に強くなる。
一切の光も音もない空間で私は、ゆっくりと夢の中へ沈んでいった。
【眠りにつく前に】🎼
本が好きだ。本によって得られる知識は膨大でありあたしの知らない世界を知ることができた。
ここにある本はこの世界のすべてが記されているように思えるほどの量があった。
歴史やこの国の生物、戦争の記録など様々な本があった。
小説もあるにはあるが、実用性が低いからなのか、とても少ない。
小説は人を不思議で引き付ける魅力があるが、事実もまた不思議な出来事や謎が多くある。
まるでノンフィクションの物語のように。
【もう一つの物語】📚
部屋に入ると、オルゴールの華奢な音と紅茶の落ち着いた香りが耳と鼻に入って来た。
部屋の奥に目をやると、キッチンで紅茶を入れている友人の姿が見えた。
紅茶とケーキの乗ったお盆をテーブルに置き、
「ほら、座って、座って」
と手招きしながら催促してくる。
言われた通り席に着き、目の前の可愛らしいカップを持ち上げ、紅茶を一口飲むと甘みの強い濃厚な味が口の中に広がった。
「美味しいでしょう?」
「ええ。キミの好きそうな味だね」
「そうなの!私のお気に入りなのよ」
正直に言ってしまうとボクは、深煎りのコーヒーが好きで、紅茶自体あまり飲まないのだが。
大切な友人のお気に入りの紅茶を友人と共に飲んでいるだけで美味しく感じられた。
【紅茶の香り】🏵️
誰に向けたものなのか分からない愛の手紙が、池に浮かんでいるのをよく見かけるようになったのはいつからだったか。
「流行りの恋のおまじないらしいわよ」
疑問を口にすると友人が答えてくれた。
なんでも、手紙に好きな人への愛を綴りそれを、好きな人がよく通る場所の水場に浮かべ、二日間好きな人に中身を見られなければ恋が叶う…というものらしい。
「へえ、面白いね。やってみようかな」
「何?アンタ好きな人でもいるの?」
「いや、いないけれど楽しそうじゃないか」
そう言うと目の前の友人は呆れたような目でこちらを見てきた。
「好きにすりゃいいわ…」
ため息交じりにつぶやく友人をよそ目に、僕は誰に向けたものか分からない愛の手紙を書き始めた。
【愛言葉】📷
友達は多い方だったと思う。
けどその友達が本当に信用できるものかと問われるとわからない。きっとこの先もわからないまま生きていくのだろう。
そう思いながら今日も笑った。
【友達】✒️