夏は嫌いだ
暑いし、虫がたくさん出る
暑いと、歩いているだけで
汗がにじみ出てきて、服が気持ち悪くなる
夏が来るたび、
冬が早く来てほしいと
強く願う…
ふとした瞬間、思うことがある
ここではないどこかへ行ってみたいな、と
この現実を一度忘れ、まっさらな気持ちで
自然に囲まれたい
現実逃避って言うやつかもしれないな
ふぅ〜と大きな息を吐き、窓の外を見る
下は水色で徐々に青へと変化していく、
そしてまばらにある曇
なんて美しいんだろう
そしてまた、ふとした瞬間思う
ここではないどこか…
それはひょっとしたら、空の上かもなぁ
今なら、行ってみてもいいと思う
でも、ここではないどこか…
それは簡単に行けるかもしれない
それは、本を読んでいるとき
本の世界に、行ける
それは、空を見ているとき
無限に、途切れることなくある空
無心になれる
たくさんのことで、ここではないどこかへ行ける…
君と最後に会った日のことは、
昨日のことのように、覚えている…
君と最後に会ったのは
君と最初に会った丘…
君の大好きな花が一面に咲いている丘…
最後に会った日、君は言ったんだ
「ごめんね…。でもね…、これは、神様に捧げるの…。
いいえ、違う。これはこの国に捧げるの。あなたがいる
この国に…。だから、私を恨まないでね?」
「全ては、貴方に…。貴方がこれから生きる
未来のために…。貴方のためなら、
私はなんだってできる…」
そう言って、笑った…
どういう意味だろうと、ずっと考えていた
自分はどれだけ鈍感だっただろうか…
君のことなんて恨むはずはなかった
その代わり、自分を恨んだ
包丁を手に持ったけど、何もできなかった
死というものは、これほど怖いのか
君は、これより辛かっただろう
ごめん…ごめん…
君が命を捧げたこの未来を
僕は堂々と生きるべきなのか…
君は、誰よりも繊細な花みたいだ…
君はとても繊細で…
でも、花みたいに、とても美しい…
君は繊細だから、
誰よりも僕が守ってあげなくちゃって…
でも、君は、その繊細さに勝る
強さを持っていたんだ
少し寂しかったけど、
それと同時に、少し、嬉しかったなぁ
君はね、とてもとても繊細だけど…
必死に生きる、花みたいに
とても美しいんだよ…
一年後の未来でさえ、わたしたちは知らない…
一年後、私は何をしているだろう
きちんと学校に行っているだろうか
いや、その頃、日本はまだ平和だろうか
家族も友達も、友達の友達も…
みんなが平和に暮らせているんだろうか
たとえ一年後でも
日本が他の国と
戦争を、していなければいいな…