あなたのもとへ
駅であなたを見つけた、やっと会えた私寂しかったのよ。久しぶりに会えたから沢山伝えることがあるのよ。なにから話そうかしら、あら、あなた髪の毛が少しボサボサだわ。
愛しいあなたの変化に思わず笑みがこぼれる。
多くの人をかきわけ、あなたのもとへ駆け足で向かって行く可愛い私をどうか強く抱き締めて頂戴ね。
そっと
夜ふと目が覚める。体を起こし隣で寝ていた月雲を見つめる。月の明かりに照らされて、寝息とともに青い髪がきらきらと揺れている。まるで星空のようだ、なんて思いながら、そっと頭を撫でると寝ているはずの月雲が小さく笑っている。
もう一度眠りにつくため、布団に潜って目を閉じ平和なこんな日がずっと続けばいのに、と思いながら意識を手放した。
創作子達の日常
まだ見ぬ景色
お兄様に見せたかった。季節によって変わるこの国の色鮮やかさを、花々が揺れ季節の風に包まれるお兄様を見たかった。
弟に見せたくなかった。この国の浅ましさ見苦しさを他者を上辺でしか見れない愚か者たちを。人々の深い愛情に包まれる弟を見たかった。
まだ見ないでくれ、見つけないでくれこの景色たちを
お互いを心の底で思いあっていた兄弟達。
創作子達の日常
あの夢の続きを
夢の中では大きなテーブルを家族みんなで囲んでみんな笑顔で、楽しそうに食事をしている。
だれも不機嫌じゃない、だれもかれも顔色を伺っていない。
みんな私の顔見て、他の人たちと同じように会話をしてくれる。顔の半分を覆う大きな火傷跡に目をくれず笑顔を見せてくれる。
ああ、これは夢だ。と瞬時に悟る叶うことのない暖かく悲しい夢だ。
ふっと目を開け辺りを見回すと部屋に湯気の冷めた食事が置かれている。私が寝ている間に置いていったのだろう。
「ほら、ね。夢だったんだ」暗く静かな部屋に私1人。
夢の続きをずっと、夢見ている。これからもずっと
創作子の日常
未来への鍵
影のように生きる可哀想なお兄様、ねぇお兄様は鍵だよ。僕にとっての欠かせない未来への鍵なんだ、だからいなくならないでね。お兄様にとっての僕も未来の鍵でいられるようずっとずっと守ってあげるからね。
なんて思っていたのは僕だけだったみたい。震える手でお兄様が僕の体を鋭い刃で貫く瞬間、僕は自分の自惚れさ、いや傲慢さに思わず自嘲の笑みが浮かんだ。
僕たちの未来はもうここでおしまいだ