夜が明けた。
深くため息をつくと、白い息がふわりと溢れる。
「夜が明けるな……」静かに呟いた。
朝日が昇り始め、空が白んでいく。窓際に手をかけ、まだ眠る街を見下ろす。
静かな空間に、自分の心臓の音だけがいやに大きく響いていた。
ふと、自分の両手を見る。
べったりと血が付いている。弟の最後の温もり、肉を裂く感触。そのすべてがまだ手のひらにこびりついていた。
一歩外へ出れば、空はどこまでも澄み切っているのに。
私だけが、醜く、汚らわしい。
声も出せずに蹲り、涙だけが止めどなく溢れる。
夜明けに、一人ぼっち、罪を犯した私に。
もう二度と、朝は訪れない。
創作子の話
4/28/2025, 12:40:06 PM