優越感、劣等感
私のほうが可愛いでしょう?
私のほうが優秀でしょう?
あの子よりも、あの子よりも、あの子よりも。
私のほうが勝ってるでしょう?
足りない。
まだ足りない。
もっと私を見て、私を褒めて、私を認めて、私が必要だと言って。
「みて、じょうずにできたの!」
歪な折り鶴を、まるで宝物のように見せてきたのはあの日の幼いわたし。
ヨレヨレで、折り目だって揃ってない。
誰が見たって不格好なその鶴は、だけどあの時のわたしが一番丁寧に作ったものだった。
こんなもの。
そう言ってはたき落とそうとした私を、幼いわたしはキラキラとした笑顔で見上げた。
振り上げた手をそっと、彼女の小さな手に添えた。
「とても素敵ね」
「ありがとう!」
幸せそうに喜ぶ彼女に、胸か温かなもので満ちていく。
わたしは、私に認めてほしかったんだね。
不細工でバランスの偏った折り鶴は、何よりも美しいものに見えた。
これまでずっと
これまでずっと好きだった。
これからはずっと、愛してるを言わせて。
1件のLINE
始まりは僕からのLINEだったね。
ずっと画面を見ながら頭を悩ませた。
君になんて言おう、なんて言えば君は頷いてくれるだろう。
悩んで悩んで、結局打ち込んだ文字はあなたが好きだという
シンプルな文字。
返事が来るまでずっとドキドキしてた。
そして君からの返事に飛び上がって喜んだ。
終わりは君からの1件のLINE。
君の心が離れていることに気付いてはいたけれど、
形にしてみるとこんなにも悲しいものなんだね。
なにが悪かったのかな。
どうすれば良かったのかな。
未練がましい文字の羅列を全て削除した。
僕は一言、君へ送った。
僕の重い心を乗せて、電波は軽やかに彼女の元へ飛んでいく。
指先一つの、君と僕の物語でした。
目が覚めると
目が覚めると、そこに見えるのは私の姿だろうか。
それとも優雅に舞う蝶の姿だろうか。
彼はどちらを望んだのだろう。
私はどちらを望むのだろう。
今のところ、答えはまだ出ない。
私の当たり前
朝が苦手な私と、得意な君。
朝ごはんは食べない私と、しっかり食べる君。
着る服を用意している私と、なんでかいつも靴下の片方を探す君。
私の当たり前と君の当たり前はこんなにも違う。
でもいつかこんな日々が、私達の当たり前になっていくんだね。