蓮池

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6/3/2023, 11:28:11 AM

失恋

あの人に好きだって言われたの。

頬を染めて、耳元で好きな人の名前を囁いた彼女。
その人はずっと彼女が片思いしていた人だった。
私はそうなんだ、おめでとうと彼女の手を握った。
ありがとう、と微笑む姿はとても綺麗だった。

世界中の誰よりも幸せになって欲しい人。
でも彼女を幸せに出来るのは私じゃない。
それがとても悲しくて、悔しくて。
一番の友達という場所を必死に守ることしか出来なかった。

私の恋心は芽生えたと同時に死んでいる。

6/2/2023, 12:38:09 PM

正直

正直に言います。
ほどほどに、無理なく、それなりに幸せに生きていきたいな。

6/1/2023, 12:58:38 PM

梅雨

傘をわざと忘れた。
彼と一緒に帰る口実が欲しくて。
少し君の肩が濡れるから、ちょっと寂しい。
君の腕を引いて肩を並べた。
嫌いだった梅雨が、君といる間だけは好きでいられた。

5/31/2023, 12:19:28 PM

天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、

朝から彼女の機嫌が悪かった。
おはようと言ってもだんまりを決め込んで、コーヒーを用意してそっと彼女の前に置いても窓の向こうを向いたまま。
昨日は怒らせるようなことをしたっけ、と考えてみる。

靴下を丸めたまま洗濯機に放り込んだ。
食器を水につけずにシンクに入れた。
燃えるゴミを出し忘れた。
他にも色々。

思い当たることばかりで血の気が引いていく。
だらしない僕は彼女を怒らせてばかりだ。
でも、いつもなら言葉にして伝えてくれる彼女が、ここまで何も言わないなんて初めてだ。
「あ、あの!ごめ…」

とりあえずで謝ってくるのは好きじゃないから。

以前、彼女がそう言っていたのを思い出して口を閉じる。
でも黙ったままなのも耐えられない。
「き、今日はよく晴れたね!」
「…」
「散歩したら気持ち良いんだろうな〜!」
「…」
「洗濯物もよく乾きそうだよね!」
「えっと〜…」
青空を見上げたままの彼女に不安が募る。
こんな話がしたいわけじゃない。
言葉を一生懸命探してはうろたえる僕に、彼女が小さく笑った。
「ホントに仕方ないなぁ」
呆れたような顔で、でもちょっとだけ優しさを混ぜた笑顔にようやく僕も笑うことができた。
天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、

君がいないと生きていけないということ。

5/30/2023, 12:31:35 PM

ただ、必死に走る私。何かから逃げるように。

とくに何があったわけでもない。
変わらない日常、変わらない風景、変わらない私。
これを平和と言うんだろう。
誰かから見れば贅沢だと怒られるんだろう。
でも、どうしようもなく感じるこの息苦しさは何だろう。
私は何か間違えているんだろうか。

街中を走る。
叫び出したい衝動を、乱れた呼吸で誤魔化す。
形のない何かに捕まらないように、必死に走った。
その先には、また変わらない日々が待っている。

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