きみとうみへ
きみと会うのは決まって夜
都合いい関係であるからかな
きみは私と 付き合いたい っていってくれた
でも冗談なの、彼の言うことは全部。
唯一ほんとなのは やろうよ
その言葉だけ
私は好きなのに、付き合いたいのに
この思いが伝わることはないし
叶うこともない
彼は女癖が悪い
女の子がたくさんいる
たくさんいるから私なんていなくたっていい
私のかわりはたくさんいる
そんなことわかってる
でも関わりたい
でもきみのことが好きなの
もう少しで手がつなげそうな距離
彼の手に触れたい
きみはどう思うのかな
普段なにもしない私が手を触れたら
嫌うのかな
冷たすぎないけどその届かない感じが好き
って最初にいってくれたの私覚えてるんだ
届かない私が好きなら
届く私は好きじゃないのだろうか
もうやってる時点で届いてるか
そう思いながら
じっときみの横顔と手とそして揺れる海を
見ながら私は口にした
海がきれいですね。
意味:あなたに溺れています
出かけると彼といつも会った
学校に行ってもバイトに行っても
コンビニに行っても遊びに行っても
どこでも彼と会った
またお前かよなんて呆れて
でもその時間がたのしくて。
大人になった今
会社に行くと必ず会う
私の前で仕事をするのだ
そして家に帰ると彼と会う
彼がソファに座っているのだ
私と彼の隣に座る
彼が口を開いた
俺らってどこでも会うよな
私は そうだね と返す
俺らは運命の赤い糸で繋がれてるな。
たまには明るいときにと思って
暑い夏の朝に外に出た
空は好きだから空を見ながら歩いていた
入道雲だっけ、
そんな名前のやつが
夏の空にいちばんあっていると思う
きれいで好き
そんなただのなんてことのない日
サッカーをして服で汗を吹くきみの仕草
そんな姿も好きだから
ぼーっとしてるふりをしてずっとみてる
きみは気づいてるのかな
何を思ってるのかわからない
そのあと話しかけに行く
近めの距離で
そしてきみの匂いがわかる
きみの匂いはだれよりも好き
夏の汗の匂いも冬の柔軟剤の匂いも
今年も夏がきたんだろうな
ここでもないどこかでもよかった
だって全てなにもないもの