青い風
真っ青な夏空が広がる午後のひととき…連日続く熱中症警戒に、うんざりする…青空は、いいけれど、もう少し、何とかならないものか…
そんなことを考え乍ら、公園の木陰に逃げ込む…強い陽射しよりは、少しましな感じがするけれど熱気が漂っている…タオルで汗を拭い、水筒から、水分補給する…朝、半分位入れた氷も、大方溶けてしまっている…
少し恨めしく思い乍ら、木陰から空を見上げた時、漸く風を感じた…その風は、心地よく通り過ぎて行く…透明で、限りなく青い風のように…
遠くへ行きたい
何処でもいい、遠くへ行きたい…
あなたを失って、この街にいるのが辛い…街のあちこちを歩いていると、あなたの俤が、ふっと頭をよぎるから…
何時も待ち合わせしていたあの公園も、一緒に買い物したあのお店も、夕陽を眺めたあの丘も…もう、逢えないって解っているのに、あなたの姿を探してしまう…
あの頃は、あなたと居ることが当たり前で、永遠だと思っていたのに…
あなたへの想いは、募るばかりで…早く、何処でもいいから遠くへ行きたい…
クリスタル
あなたに近付きたい…
初めてあった時に、そう思った…今迄、色んな出会いがあったけれど、あなたは、そんな誰にもない、光を感じた…
キラキラした眩しさや、強いオーラを感じた人は、沢山出会ったけれどそんな人達とは違う、光を、あなたは穏やかに、包み込むように、発していた…
派手さも無いのに、あなたから、真っ直ぐに伸びる光の感じが、直ぐにわたしの心を貫いたから…
夏の匂い
蒸し蒸しとする草の匂い…ギラギラした夏の陽射しに咽る独特の香り…
潮の磯臭い香り…潮風と一緒に纏わりつくこの、磯の匂いが、子供の頃からの夏の風物詩…
夏の夜のお祭りの匂い…屋台から流れてくる、焼きそばやいか焼き、とうもろこしなんかの匂いや、人の行き交う時の香水や汗の匂い、打ち上げ花火の火薬の匂い…沢山のそして、浮かれた空気に漂う様々な匂いが、楽しくさせてくれる…
川から漂う、水の匂い…何の匂いか分からないけれど、せせらぎの音に紛れ込む、落ち着く匂い…
そんな色々な匂いが溢れる、夏の1日は、忙しくて、鬱陶しいけれど、何かを、期待してしまう、不思議な匂い…
カーテン
あなたとわたしの間には、見えない何かが、ある…壁のようなはっきりしたものではないけれど、ベールのような仕切りがある…
何時も近くにいるのに、あなたの心が見えなくて、どうして良いのか見えなくて…
この見えない壁のようなカーテンのような仕切りをどうしたら開けられるのだろう…