何処にも行かないで
じゃぁね、そう言ってあなたと何時もの別れ道、あなたの袖を掴んでいた…
急に聞かされた、遠くの街へ行くかも知れないと、あなたからの話し…何時も一緒なのが当たり前だと思っていたから、突然のことで、どうして良いのか、言葉にも出来なくて…
心の中では、行かないでって思っているのに、言葉にならない…
そんなわたしを、優しく見つめるあなた…その瞳を、その穏やかな笑顔を失いたくない…ギュッと掴んだあなたの袖を、離せ無い…この気持ち、伝えられるなら…
君の背中を追って
偶然見掛けた、君の後ろ姿…滅多に逢えない君が気になって、つい追いかけてしまう…
君は、背中を丸めて、トボトボ歩いている…何時もの、背筋を伸ばして、闊達に歩く君と余りに違い過ぎて…
初めて見た君のその姿が、心配だけど、でも、少しだけ…
好き、嫌い
大好きなあなたと、ずっと一緒にいたい…あなたの優しいところや、笑顔、気配りとか、好きな所があり過ぎて、本当にわたしなんかで良いのか、ちょっと怖くなってしまう…
でも、そんな好きな所も、同時に嫌いなところでもある…だって、あなたの優しさも笑顔も気配りも、誰にでも平等だから…
雨の香り、涙のあと
雨音が屋根を叩いた…さっき迄の青空は、嘘みたいに、黒く低くなっている…まるで、わたしの心みたいに…
久しぶりに、散歩がてら町中をぶらぶらしていたら、あのひとを見かけた…でも、その隣には、知らない人が寄り添っていた…まるで恋人同士みたいな、雰囲気で、見ていたら、急に胸が苦しくなって…気がつくと、家に戻っていて、ぼんやり外の景色を見ていた…
ポツポツ落ち始めた雨粒が、いつの間にか、糸のようになり…同じように、涙の止まらないわたし…
糸
運命の赤い糸の伝説って本当にあるのなら…
この小指に感じる、引き合うような感覚…誰かと繋がっているような…もしそれが、あなたなら…そんなことを想いながら、目には見えない多分繋がっている糸を想像している…
これが恋なのか、ざわめく心を感じるけど…都合の良い事だけに頼るしかないわたしの想い…