ささやき
風に紛れて、あなたへの気持ち少しづつささやいてみる…多分、あなたの耳には届かないだろうけれど…
春風が優しくて、心をゆっくり溶かしていくから、今迄ずっと言えずにいたあなたへの想いが、溢れてしまう…
本当は、あなたの耳元でささやきたいのに、意気地なしの私には、まだ直接なんて言えやしないから…
星明かり
見上げると、落ちて来そうなくらいの星々の煌めき…久しぶりの夜の明るさに、軽い衝撃を受けた…
子供の頃は、毎日見ていた天の川も、いつの間にか、ぼんやりと見える程度になって、街灯よりも明るい星の輝きが、どれ程素敵なのか思い知らされた…
そして今、愛おしい君と二人で見上げるこの星空が、もっとかけがえのない世界だと、再認識せずにはいられない…
影絵
夕方になると現れる自然からの贈り物…道に伸びる影法師が、風に吹かれて、ゆらゆら踊っている…
木立も、枝の隙間から溢れる夕日で、大きな生き物のように見えてくる…
そんな、夕陽と様々な影の織り成すひと時の戯れが、夕暮れの慌ただしさから、しばし和ませてくれる…四季折々の変化に、季節を感じる一コマが嬉しい…
物語の始まり
振り返ると、それは、始まりだった…
あの雨の日、雨宿りしていたら、あなたが隣に駆け込んで来た…突然の雨で、近くにコンビニも無くて、バス停の小さな屋根の下に飛び込んだ…程なく、あなたもやって来て…
濡れて、下着が透けていたあなたに、周章てて上着を差し出した…あなたは一瞬戸惑う様子で、自分の姿を確認して、躊躇いながら、羽織ってくれて…ちょっと挨拶交わして、雨が止むと、そのまま帰ろうとした…ただの、何処にでもある一コマで、それで終わりだと、思っていた…
でも、そこから、あなたとのやりとりがあり、いつの間にか、恋人と言う関係になった…見ず知らずの出逢いが、こんなふうになるなんて…
ただの雨宿り…そこから始まった、予想外の展開に、今更乍ら…
静かな情熱
あなたを見ると、心がざわつく…何時も、感情が読めないと言われるのに、あなたの気配を感じると、もう落ち着いていられない… あなたの仕草や、無意識に耳に触る癖、気長なのにせっかちな足音…
無関心を装い乍ら、何時も気にしている、あなたの全てに…でも、誰にも知られたくない自分だけの秘密…あなたに知って欲しくて、でも知られるのが怖くて…クールな装いで、何時でもあなただけ、想っている…