記憶
何時も、何の前触れも無く突然蘇る記憶…
もう、どれくらい前の事だか…もう今は、残っていないけれど、中学の片隅に、古い木造校舎の図書室があって、何時も、そこが唯一の居場所で、放課後は、毎日通った…そこで出会った違うクラスの友達や後輩たちとの、何気無い日常の一コマが、時を超えて、バラバラに戻って来る…しかも、殆どが、脈絡も無く、でも、鮮明に浮かんでくる…外の行事や、クラスのことなんて、殆ど覚えていないのに、あの、木造校舎での想い出ばかりが、ずっと…
もう二度と
…もう、こんな失敗なんて絶対しない…そう思い乍ら、また同じ過ちを繰り返してしまう…そんな自分が嫌になりながら、結局、踊場で、足踏みしているだけで…
情け無くて、そんな自分が惨めで、死にたい…って思う毎日…能書きなら、誰にも負けないけど、何一つまともに出来ない事が、嫌でしょうがない…もう二度と…そう思い乍ら、また、明日の夜も過ごしているのだろう…
曇り
桜の咲く頃は、曇り空が続く時がある…青空に映える淡いピンクも、曇り空には、少しぼやけてしまう…花曇りなんて云うけれど、個人的には、少し淋しい…桜花の奥ゆかしい艶やかな色合いは、春先の空色に一番似合うと思う…
でも…その曇り空でさえも、取り込んでしまう、この花の魅力…どれ程に、人の心に…
byebye…
夕方のこの時間に交わす、バイバイ…毎日、言っているけれど、なんか言いたく無い…
あなたと過ごす、この短い時間が、明日の元気のもとなのに、もっとあなたと一緒に過ごしたい…まだ、出会ったばかりなのに、もう、私の中のあなたに、心をどんどん奪われている…
夕方の長い影法師は、凄く近いのに、ちょっとだけ、距離を詰められない…その距離がもどかしいと思い乍ら、もう少しで、あの言葉の時間…
バイバイ、また明日…
君と見た景色
覚えてるいるかな…古い木造校舎の窓にもたれ掛かって、二人で見ていた夕方の校庭…目の前では、バスケ部が汗だくで、コートの中を走り回って、横では、テニス部が、ラリーを続けている…
何時もの何気無い、学校での風景…斜めに射す夕陽も、ガタツキある窓も、風に紛れている夕方のざわめき…目の前の景色は、何も変わらないのに、隣にきみがいるだけで、何か違う様な感じがする…
あれから、ずっと永い時間が過ぎたけれど、今でも、あの時の、君と並んで見ていた景色、今でも鮮明に蘇るよ…