多田野一人

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1/28/2025, 3:27:13 PM

帽子かぶって
何時以来だろう…ずっとむかし、多分、未だ小学校に上がる前だったと思う…
冬になると、緑のセーターに、茶色の毛糸の帽子で、公園を走り回っていた…
古いアルバムに残る、セピア色の写真には、妹や弟と写っている…ほっぺたが真っ赤で、ちょっと緊張したような、照れた様な顔をしている…
久しぶりに見た、幼い頃の自分が懐かしくて、つい、毛糸の帽子を手にした…雪がチラつく風の中、ちょっとだけ、暖かく感じた…

1/27/2025, 3:12:00 PM

小さな勇気
あの時、もう少しだけ…勇気があったなら…何度も、あの日のあなたが、浮かんでくる…
どんなに、悔やんでも、あの日には、戻れ無いことも解ってはいるけれど…
あの日、あなたから、遠くへ行く事を聞いて、何も言えなくて…心の中では、
行かないで
って叫んでいたのに、言葉に出来なくて…あなたの背中を滲む瞳で、見送るしか出来なくて…
もう、遠い記憶なのに、今でも、夢に見てしまう…
あの時、もう少しだけ…

1/26/2025, 3:20:32 PM

わぁ!
叫びたい…何故…
でも、喉元迄上がって来ているのに、声にならない…何時もと変わらない、この景色なのに、一つだけ除いて…
昨日迄、何時も一緒にいたあなたが…ぽっかり空いた私の隣…何時もの癖で、手を伸ばして見ても、掌は、宙を掴むばかりで…
あなたの居ない、これからの時間…この気持ち、どうすれば…

1/25/2025, 3:32:13 PM

終わらない物語
突然の雨で、昇降口で雨宿りする事に…天気予報では、夜遅くになっていた筈なのに…溜息をつきながら、少し暗い雨空を見上げていた…
不図、雨宿りした下人の話しを思い出した…行く宛のない下人が、荒れ果てた門の下で、思案した挙げ句…勿論、そんな物語とは無縁だけど、こんな一人ぼっちの雨止み待ちは、説明出来ない不安に包まれてしまう…
そんな、センチメンタルな心持ちで、降り止まない景色が、突然遮られた…振り向くと、そこにいたのは、不器用に微笑むあなたが…空色の傘を拡げている…
一緒に帰ろうよ…
そう言ってるみたいに…

1/24/2025, 3:05:01 PM

優しい嘘
最初から…解ってたんだ…でも、だから…気付かない振りしていたんだ…誰にでも優しいあなたは、こんな私にも、同じ様に、優しくしてくれたんだよね…
何時も、皆の輪に入れなくて、強がりの振りをして、本当は、片隅にでもいいから、仲間になりたかった…
そんな私が、初めて、好きになった、あなたに、気持ちを伝えたら、受け入れてくれたね…
其れが、凄く嬉しくて…せめて、その、優しい嘘を、もう少し、信じさせて…

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