優しい嘘
最初から…解ってたんだ…でも、だから…気付かない振りしていたんだ…誰にでも優しいあなたは、こんな私にも、同じ様に、優しくしてくれたんだよね…
何時も、皆の輪に入れなくて、強がりの振りをして、本当は、片隅にでもいいから、仲間になりたかった…
そんな私が、初めて、好きになった、あなたに、気持ちを伝えたら、受け入れてくれたね…
其れが、凄く嬉しくて…せめて、その、優しい嘘を、もう少し、信じさせて…
瞳をとじて
眼を閉じると、あなたの顔が浮かんでくる…何時も、口数少なく、けれど、優しく竚んでいたね…その優しさに、ずっと甘えていた私…
特別な出来事とか、ざわめく事なんてなかったけれど、あなたが側にいてくれるだけで、心が穏やかでいられる…
瞳の奥に浮かぶあなたも、素敵だけど、今すぐ逢いたい…
あなたへの贈り物
カレンダーの、あの日には大きく印をつけてある…
そう、あなたと、お付き合い始めた記念日…
目立たない私を、見付けてくれて…其れが何よりも嬉しくて…勇気を出して、告白して、そして、あなたからの返事に、泪が溢れて…
その、大切な記念日に、あなたに贈りたい…
羅針盤
この場所から、何処に…
目の前の景色は、霞で朧にしか分からない…どの方向に行けばいいのか…
私の隣には、あなたが一緒にいる…私が、行く宛もなく、彷徨っていた時、さり気なく助けてくれて、其れから、行く先を迷う度に、導いてくれた…
そして、2人で、ここまで来ることが出来て…
この先の、二人の進む道を、お互いに支え合い乍ら一歩一歩進みたい…
明日に向かって進む、でも
明日こそは…なんて、何度目の決意だろう…何時も、固い決心をして、次の日には、波打ち際の砂の城の様に脆く崩れてしまう…
今、目の前に浮かぶのは、あの日のきみの姿…未だ大人への入口に立ち始めたあの頃、初めて異性を意識した時に、心の中で、芽生えた切ない気持ち…その想いが何なのか、自分でも判らないうちに、きみと出逢って…漸く、その気持ちが分かり始めた頃、呆気なく突然の幕切れ…
あれから、幾つもの時を越えたのに…ずっと…あの日から、踏み出せない…