キャンドル
久しぶりに灯した蝋燭…
子供の頃は、台風の度に停電があり、ガタガタなる雨戸や突風でミシミシ揺れる家の音が怖かった…そんな中で、薄暗く、ゆらゆらしている、蝋燭の明かりが、少しだけ、心が休めてくれた…
また、夏祭りの時に飾られた手作りの灯籠も、蝋燭の明かりだった…四角の木枠に、和紙に好きな絵を描いたものを貼り付けて、ピンと張った縄にぶら下げて、足元を照らしていた…
そんな遠い故郷の景色が、目の前の揺らめく蝋燭の炎に浮かんでくる…
たくさんの想い出
気泡の様に、沸々浮かんでくる小さな記憶…モノクロ写真の様に現れて、段々と色づいてくる…
忘れかけていた、沢山の想い出たち…その一つ一つが、段々と鮮やかに蘇る…今は、もう、バラバラになった仲間達だけれど、こうして、ふっと浮ぶのは、いつも皆の笑顔…
想い出は、美しい儘にあるのがいいけれど…少しだけ、想い出から抜け出して、逢いたい…
冬になったら
そろそろ寒くなってきたね…そう言いながら、きみは、私の手に絡めてきたね…きみの小さくて、柔らかい指は、少し冷たく、いつもみたいに、一緒にポケットに突っ込んだ…
きみの、その手を繋ぐ行為に、いつも、心が落ち着かない…毎年そうしているし、もう少しすると、もっと体をくっつけてくる…
私は、この気持が、いつか知られてしまいそうで、心が、落ち着かない…
もしも、この冬に、君への想いを、伝えたい…
はなればなれ
もう、何十年経つだろう…あの頃は、毎日、あの古ぼけた図書室に、集まって、楽しくやっていたな…後輩も、いつの間にか増えて、少しづつ賑やかになっていて…
図書委員だけの集まりが、いつの間にか、その連れやその更に友達まで来るようになり、うるさくて、何度も先生に注意された…
受験生だった私は、この一時が、一番の幸せの時間で、家族よりも、大事な仲間だった…
でも、卒業と共に、段々と疎遠になって、今は、連絡手段も、それぞれの今も判らない…
それなのに、今でも、あの頃のあの仲間達が、心の支えになっている…
子猫
まるで、子猫の様に、戯れてくるきみ…もう、小学生の頃みたいに、手を繋いだり、ハグしたりするのは、一寸恥ずかしい…
けれど、きみは、あの頃と変わらず、抱きついたり、腕を組んだり…その度に、僕は、ドキドキしている…同じ様だった体型も、いつの間にか、女の子らしく丸みを帯びて柔らかくて、思っているより小さくて柔らかい掌、コロコロ変わる表情が眩しい…
そして、きみに、恋してる僕は…