優越感、劣等感
何か得意なものってあったかな…家事は出来ないし、特別なスキルも無いし、なんなら、ノートの罫線を定規をあててもきれいになぞれないし、コンパス使っても円がいびつになる…
こうして見ると、劣等感しか無い…でも、この、同仕様も無いこの不器用が、誰にも負けない、優越感かも知れない…
これまでずっと
君と出逢ったのは、中学の時…もともと友達の少ない私に、優しく声掛けてくれたね…
何時も、学校の片隅で、過ごしていたから、最初は、気紛れかと思っていたら…君の優しい気遣いに、段々惹かれる自分に気付いた…何時も、さり気なく近くに居て、話を聞いてくれたり、時には、手を差し伸べてくれたり…そんな些細な出来事の一つ一つが、私を支えてくれた…
だから…あの日から、ずっと、この想い温めてきた…今日は…だから…君に、伝えてたい…
1件のLINE
ピコン…スマホの通知が鳴る…
急いでタップすると、あの人からのメッセージ…
今日、勇気を出して、あの人にお願いして、交換したばかり…
ヨロシク…の後に、可愛いスタンプ…短くて、あの人らしいメッセージに、思わず、笑みがこぼれる…
そして、この短いメッセージに、ドキドキしてしまう…
初めてのLINEメッセージ…其の儘、受け取っていいのか、もっと、深い意味があるのか…返事は、どうすれば…
目が覚めると
おはよう…何時もの様に、目が覚めて、布団の上で、伸びをする…
時計を見ると、アラームの2分前…布団の隣には、誰も居ない…先程迄一緒にいた、あの人は、何処にも居ない…一人ぼんやり、そこにいた筈の、あの人の面影を、思い浮かべる…
本当は…判っている…全て、夢だったこと…あの人は、私の存在すら知らないし、勿論私の気持ちなんて知らない…ただ、私の、一人描くストーリーに、あの人を当てはめているだけ…
私の当たり前
美味しい御飯を食べる事
家族で楽しく暮らす事
車で出掛ける事
愚痴をこぼす事
ある程度お金に困らない事
平穏に暮らす事
便利な生活を享受する事
…
そんな日常が、当たり前だと思う今、実は、自分一人の成果ではない事を、この歳になって、初めて知った…自分の知らない誰かの営みの上に、生きていること…
当たり前は、決して当たりではない事を…