夏
梅雨空を見上げると、所々、空高くモクモク伸びる雲が、隠れている…
その向こうには、屹度待っている、夏の青空が見える気がする…晴やかな澄んだ青が、何処迄も続いて、山の向こうに拡がる、海に繋がっている…
そんな事を思い乍ら、降り続く雨に煙る街並み、物憂げな雨音、水溜りに拡がる雨粒の波紋…そんな雨の世界に、一人溶け込み乍ら、次の季節を想っている…
ここではないどこか
誰かいませんか…なんて、呟いてみても、返事も何もない…
多分、私と一緒に、同じ時間を過ごてくれるだろう誰かが、私を待っていてくれる筈…その誰かに、早く出逢いたい…それなのに、その誰かは、なかなか、現れてくれなくて…それと共に段々焦ってきてきている…
その誰かは、ここではない違う場所に居るのか…
恋に戀いしているだけかも知れないけれど、屹度何処かに、巡り会うその誰かが、待っていてくれると信じている…
君と最後に会った日
あれから、どれくらい経ったのかな…何だか、遠い様な、昨日の様な…
あの日のこと、正直よく覺えていない…あの日の前後の記憶が蘇ら無い…ただ、青空が眩しい事、いつの間にか、大雨になっていて、ずぶ濡れになった事、気が付くと一人でいた事…その間に、細切れな記憶なのか夢なのか判らない断片が、フラッシュバックしているだけ…
そして、君と過ごしていた時間が、本当にあったのか、1人よがりな妄想だったのか、何より、君自身が存在していたのか…忘れたいからそうなったのか、でも、この手のひらには、君の感触や体温が、明瞭残っている…
繊細な花
小さくて、可愛くて、思わず、手を延ばしてしまう…けれど、それは、嫌なのか怖いのか、そっと避けられてしまう…
何時も笑顔で、世話好きで自分の事は後回し…そのくせ、自分の心は閉した儘、こちらから近付くと、距離を置かれてしまう…
あなたは、繊細で、本当は、強がりで、寂しがりやさん…
だから、あなたから、ずっと目が離せなくて、何時も目で追ってしまう…儚げなのに、凛としているのが、余計に心配で…
1年後
来年の春になったら…二人で、また、桜を見ようね…そう約束してから、3か月経って、今日は、紫陽花見に来たね…
忙しいあなたと、なかなか逢えないけれど、逢うのは、一緒に花を見ることが多い気がする…映画や遊園地も楽しいけれど、ゆっくりお散歩するのも、いいと思う…手を繋ぐのもドキドキするし、誰も居ない場所で、ハグしたりキスしたりするのも、二人だけの秘密が嬉しい…約束の来年の桜をみる迄に、もっとあなた色に染まりたい…