「ごめんね」
ずっと一緒に…そう約束していたのに…あなたから、突然の言葉に、何も云えなくて…
初めての出逢いは、一昨年の4月の3週目の金曜日の夕方…落とし物に気付いて、周章てて捜していた時に、声を掛けてくれて、一緒に捜してくれたね…其れから、何となく、会う回数が重なり、気が付くと、お付き合いしていた…毎日が楽しくて、こんな日々が、ずっと続くと信じていた…のに…
あなたが、病院に運ばれたって、急な知らせに駆けつけると、静に横たわる姿…数日して、目を覚ましたあなたは、弱々しく、私に微笑んで…かすれた声で
ごめんね
そう呟いて…
半袖
心地よい風に、揺れる青葉が眩しい…そろそろ、長袖シャツも終わりかな…そんなことを思い乍ら、街中を彷徨っていた…
すると、高校生だろうか、半袖セーラー服の女の子を見掛けた…もう、衣替えの季節なのか…そう云えば、あの娘は、元気にしているだろうか…不意に、同じクラスだった、女子を思い出した…目立たない感じで、だけど、優しく気遣い出来て…余り交流もなかったけれど、同じ委員会で、何となく気の合う…あれから、会う事も無いけれど、この季節になると、あの娘を思い出してしまう…
天国と地獄
あなたの腕の中で…優しい時間に包まれている…夢でも幸せだと感じる…そんな、ふわふわした世界に抱かれている…
ずっと、夢見ていたこの感じは、まるで話に聞いた、天国かも知れない…それは、それで構わない…いっそ、此の儘…夢なら永遠に醒めないで…この刹那が、消えてしまったなら、そこは…
月に願いを
日をまたぐ、就寝前、一人月を見上げる…まあるい月も、半月も、細い三日月もそれぞれに、美しく、神々しい…
そんなお月様に、愚痴を聞いて貰ったり、相談相手になって貰ったり、偶には、お願い事をしている…或時は、冷ややかに、別の日は、優しく、私を見下ろして…この、お月様を、あの人と、一緒に、拝めますように…そう、お月様にお願いしている…
降り止まない雨
夕暮れの帰り道…急に降り出した雨…周章てて走って、近くの公園の屋根付きのベンチに駆け込んだ…子供の頃に、よく遊んだ公園で、懐かしい遊具や、真新しい遊具を何となく見ていた…
そして、不図、一緒に遊んだあの子を思い出して…砂場でトンネル作ったり、ブランコで靴飛ばししたり、ジャングルジムで鬼ごっこしたり…仲良しで、毎日暗くなるまで一緒に過ごした…
でも、どうして..も、顔も名前も思い出せない…目の前の雨模様と、一緒に遊んだ記憶が交差していくのに…なかなか降り止まない雨、思い出せない遠い記憶の中の、あの子…