あの頃の私に
時間が巻き戻せるなら…
今迄に、何度もそう願ってきた…後悔の連続しかなくて、自分の不甲斐なさに、情けなくなってくる…
あの頃、もし、もう少しだけ、勇気があったなら…同仕様もない、堂々巡りで空回りして、愚図愚図しているうちに、一人取残されていた…其処から抜け出せない儘…
逃られない
どうして..も、あの日から呪縛が解けない…もう、ずっと時間が経ったのに、あなたのあの瞳が、今でも蘇る…
あの日、いつもの様に、待ち合わせして、一日一緒に過ごして、夕暮れの公園で、私から、別れ話を切り出した…本当は、これからも、あなたと、同じ時間を過ごしたい…けれど、私が関わる事で、これ以上、あなたを苦しめたく無くて…他の人を好きになった…
そう告げて、そのまま立ち去ろうとしたとき、あなたは、私の心の奥底を探る瞳で、じっと見つめていた…それ以来、あたたからの連絡を無視して、いつしか、それも途絶え…でも、出来ることなら、あの頃に戻って、またあなたと、過ごしたい…でも、あの時の、あなたの眼差し、今でもずっと、哀しい…愛おしいあなた、でも、今更狡いよね…
また明日
じゃあ、また明日…そう交わして、あの人は、家路についた…
何気ない挨拶だけど、何となく嬉しい…ずっと想いを寄せていたあの人と、こうして言葉を交わす事が、凄く幸せに感じる…本当は、もっと一緒に過ごしたいし、色々なことをやってみたいし、まだまだ沢山ある…けれど、何にも接点の無い関係から、一歩進めただけでも、凄く嬉しい…
透明
もし透明人間になれたなら…なんて、映画や昔話を見聞きしながら、色々な事を、妄想して、楽しんでいた…どうせ、有り得ない話なんだから…
そう、思っていたのに、いつの間にか、そんな存在になっていた…確かに、此処に居るのに、まるで空気の様に、誰にも気付いて貰えない…どんなに叫んでも、振り向いてくれない…焦って藻掻いてみても、虚しい時間が過ぎるだけ…
自分の居場所が此処にあるのか…透明な私は、どうすれば…
理想のあなた
初めて出逢って、ひと月過ぎて…あなたとは、もうずっと前から…の幼馴染みのような、なんて云うのか、無くしたピースが見つかった…みたいな…
仮令ば、このあいだ一緒に出掛けた美術展で見かけたあの絵画、色彩と輪郭の具合に目を惹かれていると、あなたも気付いてくれて、嬉しくて…そんな些細な事が沢山あって、探していた人だって確信した…だから、明日は…