声が聞こえる
はっとして振り返る…だだっ広い田圃の中の一本道…慥かに今、呼び声がした…筈なのに、人影何てどこにも無い…道の両側には、少し色付いた稲穂が揺れているだけ…日に照らされた道の遠くには、逃げ水がチラチラしている…慥かに君の声、耳に残る、絶対に君の声…慌てて探していると…
秋恋
9月になり、夕暮れが早くなった…ひと頃よりもしのぎやすくなったと思った所で…不意に、君の面影がよぎった…そう、君を初めて見掛けたのは、ちょうど今頃で、薄の穂がちらほらあらわれたあの丘の下の坂道…夕焼けに溶け込む様な君は、長い髪を風に靡かせ乍ら、ゆっくりゆっくり歩いていたね…其れから何度かすれ違うようになり、言葉を交わすようになったね…そんな日々がずっと続いて欲しいと願い始めた頃…
大事にしたい
この、二人だけの時間を…今まで、色んな出逢いとか、片想いとかあったけれど、君との出逢いは今までとは違う何かを感じてる…上手くは云えないけれど、他の人とは違う心地よさやしっくりする感じ…お喋りも゙、ただ側にいるだけでも、凄く愛おしい…
時間よ止まれ
もしも、時間を止める方法があったなら…なんて、考えてしまう…
あの日、つまらないことで喧嘩した君と…意地っ張り同士、拗らせた儘。ねぇって声掛けすらできない…時間を止めて、君に伝えたい…
夜景
何もかもが面倒くなり、何時もの場所に来た…人家も疎らな郊外の山道のこの場所は、昼間なら青空と海と遠くに街並みが見える。が、今は夜…木立の隙間から暗い海に浮かぶ船の灯り、街並みから漏れるライト、海岸線を行き交う車の明かりが浮かぶだけ…こんな夜は、缶コーヒーを片手に、ぼんやりこの闇に隠れる…元来、人付き合いが苦手で、友人と言う程の相手も居ない…だから、一人静かに、街外れから遠くの灯りを見つめ乍ら、繰り言を吐き出して…