秋恋
9月になり、夕暮れが早くなった…ひと頃よりもしのぎやすくなったと思った所で…不意に、君の面影がよぎった…そう、君を初めて見掛けたのは、ちょうど今頃で、薄の穂がちらほらあらわれたあの丘の下の坂道…夕焼けに溶け込む様な君は、長い髪を風に靡かせ乍ら、ゆっくりゆっくり歩いていたね…其れから何度かすれ違うようになり、言葉を交わすようになったね…そんな日々がずっと続いて欲しいと願い始めた頃…
大事にしたい
この、二人だけの時間を…今まで、色んな出逢いとか、片想いとかあったけれど、君との出逢いは今までとは違う何かを感じてる…上手くは云えないけれど、他の人とは違う心地よさやしっくりする感じ…お喋りも゙、ただ側にいるだけでも、凄く愛おしい…
時間よ止まれ
もしも、時間を止める方法があったなら…なんて、考えてしまう…
あの日、つまらないことで喧嘩した君と…意地っ張り同士、拗らせた儘。ねぇって声掛けすらできない…時間を止めて、君に伝えたい…
夜景
何もかもが面倒くなり、何時もの場所に来た…人家も疎らな郊外の山道のこの場所は、昼間なら青空と海と遠くに街並みが見える。が、今は夜…木立の隙間から暗い海に浮かぶ船の灯り、街並みから漏れるライト、海岸線を行き交う車の明かりが浮かぶだけ…こんな夜は、缶コーヒーを片手に、ぼんやりこの闇に隠れる…元来、人付き合いが苦手で、友人と言う程の相手も居ない…だから、一人静かに、街外れから遠くの灯りを見つめ乍ら、繰り言を吐き出して…
花畑
どこも続く秋桜の波…そこに立つ貴女は、カメラに向かって微笑んでいる…あの頃よりも、ふっくらした面影、明るい目元…そして、その顔は、妹と同じで…二十年振りに会ったお母さん…当時も、母さんが出て行った理由に納得していたけれど、突然の別れと、家族でなくなる、母さんと言える人が眼の前からいなくなる…捨てられる…色んな想いが交差した…小学校の卒業式直前の出来事…50も後半になろうとする今も、お母さん、と云う言葉を聞くと、切なく、哀しく、そして怒りが湧いて来る…初孫を見せたくて、漸くとった連絡、そして再会、でも、その時のお母さんの一言が、親子の再会の喜びで無く、怖いものを見る目で放たれたことが、今でも夢に出て来る…大好きな花と、この世にたった一人の存在の写真…