夜景
わたしにとって、思い出深い夜景
それは、心の中にある一枚の写真よう
育った町の中心に、小高い城跡があった。
そこからの夜景は、
今でも心の中に残っている
隣町の飛行場、
町外れを流れる大きな河川、
そして田舎町の町灯り
懐かしい心の中にある、夜景
死ぬまでに、もう一度
あの丘から見てみたい
花畑
ずいぶん前の事だが、住んでいた家の隣は空き地だった。
結構な広さで、耕作放棄地のようだ。所々に畝の名残があり、筋になっている。
立ち入り禁止の看板もなく、柵もなかった。車の通らない散歩コースに、その空き地はもってこい。
歩き始めた子供とよく散歩した。
春になると、シロツメクサが咲いた。
今どき、広い空き地が出入り自由でシロツメクサが咲いている、等といつたのどかな風景はない。
のどかだったあの頃、あれはシロツメクサの花畑、と今になり思った。
空が泣く
贔屓の若手噺家さん
実力あり、イケメン、芸道へ邁進する気概
見ていて、立派です!
出番は少ないから、たまの高座にはいそいそと出かける
その度、雨降り
空が泣いている!
そうなんです!
雨男!彼は雨男なんです!
めったに着ないスカートの裾は、
びしょびしょ
こっちが、泣きたいわ!
君からのLINE
LINEはすごく便利
たまにくれるあの子のLINE
君からのLINE
既読が付いてしまうの、嫌なんだ
だって、既読がついた途端
次々と送ってくる
こんなことやって楽しかった、こんな面白いこと始めたって
こちらから、君へのLINE
ちゃんと読んでる?
読んでないよね
わかるよ
話の噛み合わない、やり取り
君と僕とのLINE
一方的なコミニケーションは、
寂しいよ
だから、君からのLINEは
もう送らないで
命が燃え尽きるまで
人の命は、ロウソクの火のよう。
去年亡くなった、国宝の
「死神」は秀悦だった。
薄気味悪い死神と入った穴蔵の中、たくさんのロウソク。自分の短くなったロウソクを見つけて、慌てる。
燃えさしに火を移そうとするくだり。悲哀さえ感じる。
命が燃え尽きるまで、命にしがみつく。人の性なのか。
あの噺、小三治でもう一度聞きたかった。