リバウンド直後に受けたパスからの速攻
身体は弾丸 周りを置き去りに飛び出す
一歩目から一気にトップギア 爆発的な加速
意識はゴールネットのみ 身体はそこに到達する為の道具
疾風怒濤 人壁を身体が風のように吹き抜ける
身体の意識はほとんど失う 視界のみが意識のすべて
駆け抜ける度に景色が超速で流れていく
立ち止まるすべてが点から流線に変わっていく
試合終了直前 シュート圏内
少し上げた顔 鋭い眼差し 捉えるゴール
残り0秒 放たれたアーチ 揺れるネット
私が今日気づいたこと
上とか高とか下とか低って付く言葉はめっちゃ多い
それでだいたい上か高が付くのは良いものなんだよね
逆に言うと下か低が付くのは悪いものが多いって感じ
ただの方向なのに何がそんなに違うんだろね
目標は高く高く!上を目指して!
それこそ 目上 の人にそんなこと言われるけど違和感ある
なんで目指すのはその方向なんだろ
右とか左でもよかった気がするのに
うーん わかんない
とりあえず奥行きのある人間にはなりたいなぁ
親や祖父母たちの中に
子どものような姿があるのを見て育ってきた
そのおかげで大人たちも幼い自分と同じ生き物だと
常々感じながら育ってきた
人が欲望を見せるとき
その瞬間子どものように見えてくる
言葉をつかっても理屈を並べても
根源には何かがしたいという欲望がある
欲望に動かされている姿に
醜さの前に可愛さを感じた
訛りのある不器用な言葉で
祖母にだだをこねる祖父の姿を思い出す
白髪の少年の姿は可愛かった
放課後はすべてがどうでもよくなる
大嫌いなあれこれから解放されて自由を感じるからだ
学校を後にしてすぐ側にある秘密の場所へ足を運んだ
そこにはこっそり集めた大切なガラクタたちで溢れている
ぼろくてどこかが欠けたりしているお気に入り達
辛い日には家に帰らずしばらくそれを眺めて過ごした
家でも学校でもない誰も知らない自由な居場所
自分だけの秘密基地 感情たちの解放区
それが自分の拠り所だった
もしこの場所が無くなったら自分はどうなるんだろう…
その無意識によって魔が差した
気がついたら基地へ火を放っていた
積み上がっている何もかもが不揃いな本が燃え上がる
誕生日に貰ったぬいぐるみも炎に包まれていく
家族からのもの 友達からのもの あの人からのもの
記憶の染み付いた物たちがすべてが灰に変わっていく
なんとなく気に入って今日拾ってきたライター
そんなつまらないものがすべてを終わらせた
放火後はすべてがどうでもよくなる
大好きなあれこれから解放されて自由を感じるからだ
解放区からの解放
自由になれたはずの心は辺りを舞う灰と同じ色をしていた
カーテンを開いて外を見てみると車が十台走っていた
車が十台