私の体は
年齢とともに
古びてきて
車に例えるなら
製造後10年越え

充分にメンテナンスを
して来たとは言えないし
時々
体の声が届かない…

寒いのか
熱いのか
風邪を引いたのか
気のせいか
とりあえず
体をあたためて
次の声を待つ

頭上の樹が
揺れると
影が揺れる
道に落ちる
明るい光の中の小さな影々
見上げると
葉の間から
光がチラチラ揺れる

木漏れ日の中
私は帰ろうとしている
遠くには家
夢の中で家といえば
育った家なんだ

さえずりは
鳥のラブソング
少しの止み間でも
歌う

愛を十分に
知り尽くしたとは
言えないのは
みんなそうかも
しれないけれど

春になると
人もさえずりたくなる
ラブソングを

詩が好きな
文通相手の手紙
青い封筒
小鳥のように
ふっくらした厚み
手紙を開くと
私を勇気づける
丹念な文字

あれから
何年も経つ
いつでも
捨てられる
そう思うので
今は
捨てない

写真館で
赤ちゃんを写すのは
難しいと聞く

たしかに
晴れ着を着た
2歳くらいの子は
あちこち
視線が移る
カメラマンと
女の子
すれ違う瞳

女の子は
カメラのレンズなんて
見ない
そもそも
晴れ着なんて
着たくないんだ