11/15/2024, 1:39:44 PM
小さな頃
家で飼っていた猫が
子猫を産んだ
納屋の上の棚
使い古しのダンボールの中
私はハシゴに登り
2匹の子猫を見た
ハシゴを足で押さえる
1匹をそっとつかむと
子猫は脚をピンと伸ばす
突っ張った脚に小さな頭
子猫は少しケモノくさい
何十年も前の話だけど
まだ思い出せる
生まれたての子猫のにおい
11/14/2024, 1:24:33 PM
この季節
朝起きると
家の前の道路に
やまぼうしの枯葉
このあたりは
隣もお向かいも
建売りの住宅街
業者が植えた植木が
4軒分かたまって
盛大に落ち葉を落とす
秋風がそよと吹くだけで
乾ききった枯葉が
カサッと1枚落ちてきた
ほうきとちりとりで
どんどん掃いていく
ナイロン袋にこんもりと枯葉
握って握って
砕ける音を楽しむ
11/13/2024, 1:02:10 PM
図書館が好きで
いつも通っている
一度に10冊借りられる
帰って来た本コーナーがあり
誰かがいいなと思って
借りた本の本棚
ここにはアタリが多い
2週間で返さなければならないが
家にはすでに積読本もある
ベッドの横に本の沼が
2週間が経ち
追加の2週間が経つ
読めなかった本が1冊2冊
申しわけない思いで
窓口に返却する
またいつか会いましょう
と思いながら
11/13/2024, 2:38:54 AM
日常生活もスリルに満ちている
今日 歯医者に行った
いつものクリーニング
やさしい歯科衛生士さん
でも今 地震が起きたら
この尖った機器が私の
のどおくを突き刺すかもしれない
にごった洗い桶の中の
包丁
おじいさんにとっての
ちょっとした切り株
ドアの隙間の
ねこの白い前脚
その危険を
どうにかすり抜けながら
表面 おだやかな日常は
くりかえされる
11/11/2024, 1:32:24 PM
翼があれば飛びたいと
鳥のように飛びたいと
思う人は多い
青空を高く低く
美しいらせんを描き
高い音でひと声鳴く
でも私は
運動神経的にも
三半規管的にも
それに耐えられず
くるくるくると
落ちてしまう
飛べない翼をそなえ
筋肉隆々の脚をもち
土ぼこりを立てながら走る
そちらの方になりそうだ