幼い頃
眠っていると
木の雨戸のすきまから
朝の光が
私の顔の方まで
細く伸びていた
雨戸のすきまは多く
一筋の光ではないが
暗い中
光はところどころ煌めいて
薄目を開けた
私のまぶたも明るい
腰を痛めてしまった
寝起きでうつ伏せになり
スマホを見ていたら
猫が来てすっぽり
腕の中で寝てしまった
猫は悪くない
体勢が悪かった
歩くことは出来るが
腰を曲げると痛みがでる
部屋の片付けも おそるおそる
日々の雑多が
テーブルと床に広がる
シャッター街は
人が手を入れるのを
あきらめた後の残骸
哀愁を誘う
子供が独立した後の
私達と一匹
あきらめてはいけない
あきらめず
腰が治ったら
ストレッチを始めよう
よく似ていると言われる
友達も笑いながらうなずく
3歳違いの姉と私
体格は違うのに 顔か?
目の大きさ 位置
鼻の長さに眉毛の形
鏡の中の自分を見ても
全然違うと思う
鏡の中の私を見ると
鏡の中の私も私を見る
私はこちらを見ている顔しか
見えていなかった
皆でご飯を食べている
そんな写真が出てきた
姉と私の横顔がある
アヒルみたいな唇が
うん そっくりだ
3つくらいの悩みを
抱えていることが多い
家族のこと 猫のこと
人間関係のこと
毎日新しく悩みはやってくる
辛い気持ちで
急降下する自分をおさえ
今日の悩みの鮮度は
明日には落ち着くことを
少しずつ学んできた
眠りにつく前に
いったん頭から憂鬱な考えを
取り去るために
庭の改造計画を練ることが
毎日のルーティン
台風は温帯低気圧に変わったが
今日も雨は降り続く
用があって出掛けるが
スニーカーはメッシュの夏用
水が靴の中に入り込み
靴下はびしょ濡れだ
私の足をすっかり濡らした雨は
地中に入り海に出て
また蒸発して空に帰るらしい
どんなに汚れた水でも
この永遠のサイクルで
清浄な水に戻るのはすばらしい
足元を見つめながら
歩いていると
いつの間にか私は
家の前に立っていた
このままでは風邪をひく
私は玄関に入り
すばやく靴下を脱いだ