1時間前まではただの友達だったはずなのに
どんどん友達とはかけ離れた存在になっていく。
彼氏がいるからほんとはこんなことしちゃだめなのに
私のからだは目の前の男のからだを欲しがっている。
その間にも電話は鳴り止まない。
私の彼氏の名前がずっとスマホに映し出されている。
今の状況が彼氏にバレているんじゃないかと思うと
心のざわめきがだんだんと大きくなっていく。
それに合わせるように心臓の鼓動も早まっていく。
でもこの高揚感が私は好きなの。やめられない。
君を探してもうすぐ1年。
僕はその1年で色々と失った気がする。
君を探す理由もお金も職業も時間も左目の視力も失った。
もう僕には何も残されていない。
残っているとしたら君への苛立ちぐらいだ。
それは僕がこの1年で唯一手に入れたもの。
それはあまりにも透き通っていてただただ美しかった。
意識していないと透明すぎて存在を忘れてしまいそうに
なるくらいに透き通っていた。
だが、今となっては真っ黒く濁っている。
この世界で生きれば生きるほどその黒さは
どんどん深みを増し、見るに耐えないものに変わってゆく。
そのせいで私の心は一生透き通らなくなるほどに
この世界に黒く変色されてしまった。
目の前で子猫が車道に飛び出す。
それと同時に隣にいる彼女も車道に飛び出す。
そして、1秒後に2つの生物のからだが人間の作り出した
加工した鉄の塊によって弾き飛ばされる。
0.87秒後、2つの生物のうち、からだの大きい生物は
頭から地面に着地し、絶命する。
からだの小さい生物は、からだの大きい生物に
守られていたため生き残る。
この光景を何回もさっきから繰り返している。
目の前で大切な人が死ぬところを何回も見せつけられる。
終わり、また初まる、
ほとんどずっとこの光景が続いているが
今回は今までとは少し違う。
からだの小さい生物が8秒後に死んだ。
死んだというより私が殺した。
私の恋人の死を何回も見せつけられる原因の
小さい生物が私はただただ憎らしかった。
私は生まれた双子に名前をつけた。
ステラとオリアナ。
ステラはイタリア語で「星」を表し、
オリアナはラテン語で「日の出」を表す。
ステラは夜でオリアナは朝のイメージ。
相対する名前のように聞こえるが実はそうでもない。
1日の少しの時間だけこの2つは共存する。
それは日が少し昇ったぐらいのことだ。
その後は星が消え、朝が訪れる。
しばらくすると夜が訪れ、星が輝きだす。
ステラとオリアナ、どちらにも
いい人生が訪れるようにとこの名前を授けた。