仕事で上司に怒られイライラしながら帰路についていた。
明日の仕事のことを考えながら歩いていたら
後ろから足音が聞こえてきた。
その音は段々と近づいてきて私の背中を叩いた。
「今ストーカーに追われているんです。
少しの間手を繋いで恋人のふりをしてくれませんか?」
それが彼女との出会いだった。
私の喜怒哀楽はどこ?
いつの間に私のからだから逃げ出したの
初めての頃はたくさんこの言葉を口にしていた。
彼の全てがかっこよくて、かわいくて、愛おしかった。
でもだんだんとその熱は時間と共に冷めていった。
彼との時間が生活の一部になってくるにつれて
私の心は他の男の人に興味を示し始めた。
そして、先月大学の友達とからだを重ね合わせた。
それが彼氏にバレて私たちは別れた。
最初は別に何も思わなかった。
だけど時間が経つにつれ、彼のことばかり
考えるようになった。
もうすっかり彼への愛は無くなったと思い込んでいた。
けれど、それは私の勘違いだった。
私は付き合い始めたときよりも別れた後の方が
彼のことが大好きらしい。
私は目が見えないけどイラストレーターになりたい。
叶わぬ夢ということはわかっている。
でも私はそれでもなりたい。
私の母が目の見えないイラストレーターだったように。
つい2日前くらいに家の中で育てていたアネモネが咲いた。
そのアネモネの花の香りと共に彼氏の匂いが私の鼻を擽る。
しかし、匂いはこれまでの彼氏の匂いとは違った。
花の匂いが混ざっているからいつもと違うというのもあるのだろうがこれまでの匂いとはほど遠い匂いをしている。
今の彼氏の匂いは血腥い。
だってお腹が真っ赤に染まっているんだもん。
私が数秒前まで握っていた包丁が彼氏の
お腹を裂いて血腥い匂いを漂わせた。
「咲いた花と裂かれた腹」
これでいい小説が書けそうだ。