手のひらの宇宙。
その中にはブラックホールもあった。
そのブラックホールと物体を接触させればその物体を
この世から跡形もなく消せる。
それは生物にも適用されていた。
だから私は完全犯罪をするのが容易だった。
だが、そのブラックホールは1回だけ使ってから
使えなくなった。
実際には使えなくさせられた。
私は昨日両手を切断された。
そのせいで私の宇宙は使えなくなってしまった。
手のひらの宇宙のせいで私は両手を失った。
小学生の頃、風のいたずらが流行った。
僕の小学校の帰り道にはビルとビルの隙間から強い風が
吹き込む場所があった。
そこにスカートを履いた女友達や通りかかるスカートを履いた人たちを見て楽しんでた。
今でもたまにそこら辺に小学生の男の子達がたまっている。
ここは今も昔も変わらない男の子が集まる場所。
風のいたずらの聖地。
私たちの透明な涙の原料は血液。
人によって血液の粘度や濃度、色はみんな違う。
なのに涙は全員同じで透明。
あなたも私もどこかの知らない人も全員同じ。
何でおんなじになるんだろう。
あなたのもとへ行きたい。
けど行こうとすると往復で5万円かかる。
私はまだ中学生でバイトもできないしお小遣いも月3000円
しかない。前までは会いに行くなんて無理だと思ってた。
でも案外すぐお金が貯まることを知った。
きっかけはお姉ちゃんのお友達だった。
お姉ちゃんのお友達にお金がほしいって相談したら
中学生でもできるバイトを教えてくれた。
内容は簡単だった。
お姉ちゃんのお友達が教えてくれる場所に指定された
日と時間に行くと毎回色んなおじさんがいるの。
そのおじさんたちは痛いことをしてくるんだけどそれに
耐えたら1回で2万円もくれるの。
だから3回痛いの我慢したらすぐ彼氏君のところに
会いに行けるの!
痛いのは辛いけど我慢すればたくさん彼氏君と会えるから
私は明日からも痛いのを我慢するの頑張る!!
いつも寂しいなとか思ったときに気づいたら
そっと隣に座ってる君。
ほんとにいつもタイミングが完璧すぎてちょっと怖い。
怖いけど隣にいてくれるのはすごい嬉しい。
そんな君が大好き。愛おしい。
だから君を殺した。
浮気できないようにするために。
私だけをずっと見させるために。
そのおかげで私が会いたいと思ったらいつも
すぐ来てくれる。
私の記憶から。