恋人いない歴=年齢。
この寂しさは誰にも埋めれない。
唯一この寂しさを埋めれるのは恋人がいるって
周りの人間に嘘をつくくらいだ。
冬の間はずっと一緒にいてくれるって言ったのに。
なんですぐ死んじゃうのかな。
せめて最期は二人で桜見たかったよ。
私一人だけで桜見るなんてやだよ。
あなたと一緒だから見たいって思えてたのに。
まだ全然話し足りてなかったしもっとたくさん
デートしたかった。
あなた以上の人なんかこの世界にいない。
もう一回だけでいいから会いたいよ。
「明日は俺生きてるのかな。死ぬ前にバンジージャンプしてみたかった。あ、夜はカレー食べたいな。」
最近私の彼氏はこんなようなとりとめもない話をしてくる。
こうなってしまったのはおよそ1ヶ月前からだ。
彼氏はブルガダ症候群を患った。
この病気は一過性の心室細動を生じるだけで
ほとんどは一時的な症状で終わるらしい。
だが、稀に重篤な不整脈である心室細動により失神し、
最悪死に至る場合があるらしい。
心室細動はいつ起こるか医者でもわからないらしく
今起こって死んでも不思議ではないし
このまま起こらずにずっと生きていくという場合も
あるらしい。
1ヶ月前までは彼氏とずっと幸せになれると思っていた。
だけど、今回彼氏が病気だと知ってから
毎日が不安で仕方ない。
1ヶ月以内にはもう会えなくなっているかもしれない。
明日には会うことが出来なくなるかもしれない。
今この瞬間で会えなくなるかも。
病気はとめることはできない。
だから今この時を彼氏と一緒に過ごして楽しい思い出を
作ることしかできない。
だからこそ私はこの瞬間を大事にして生きていく。
いつの間にか風邪を引いてしまったみたいだ。
昨日まではあんなに元気だったのに今日は熱もあるし
倦怠感もすごい。
それに今日は生理も被っていて余計に辛い。
風邪だけなら何とかなったものの生理のせいで
まともに動けない。
こんな日に限って親は2泊3日の旅行に出掛けてるし最悪だ。
今日が今年1辛いかもしれない。
そんなことを考えていたらふともうすぐ
クリスマスだなぁと思い出した。
今年も彼氏いない歴=年齢のまま終わるんだ笑。
彼氏ほしいなぁ。
今日とか彼氏がいてくれたら色々
助けてくれたかもしれないし。
最近、夜に近所を散歩していると雪を待っている
少年を見かける。
いつも「いつになったら雪が降るかなぁ」と言って
空を見上げている。年齢はまだ小学3、4年生だろう。
その子はいつも熊のぬいぐるみを抱き抱えたまま夜の7~8時ぐらいの間一人でただ公園で空を見上げている。
1ヶ月くらい前からその子をよく見かけるようになった。
だが、いつ見かけても男の子はずっと一人で
ベンチに座っている。
流石にこんな冬に子どもが一人で公園にいるのは
おかしいと思い、カイロを持っていってあげてそのまま
その子の話もちょっと聞こうとした。
翌日、午後7時半くらいにいつも
男の子がいる公園に行った。
案の定、今日も男の子はその公園にいた。
男の子が座っているベンチのとなりに座ると
男の子は驚いたような顔をしていた。
だけどこんばんはと言ったら
ちゃんとこんばんはと返してくれた。
そのままカイロを渡そうとしたが男の子は熊の
ぬいぐるみから両手を離さず受け取ってはくれなかった。
なので男の子の上着のポケットに入れといてあげた。
そして男の子に何でいつもこの時間にここにいるのか
聞いてみた。
すると男の子は「ここでママを待っているの」と言った。
男の子曰く、
お母さんは雪が降る日の夜にまたここに戻ってくるねと
言い残してどこかに行ってしまったそうだ。
そう聞いた瞬間、私は心が痛くなった。
たぶんこの子のお母さんはもうここには戻ってこない。
まず、この公園で再開する意味がわからない。
普通は家で再開するだろう。
それに雪が降る日や夜に戻ってくるという
意味もわからない。
私の住む地域はもう10年以上雪が降っていない。
お母さんがわざと雪の降る日に戻ってくると言ったなら
もう戻ってくる気はないだろう。
わざと雪の降る日に戻ってくると言ったなら許せない。
会う日が抽象的に決められているよりも少しでも具体的に
指定されている方が会えると余計に期待をしてしまう。
期待させるだけ期待させておいて会いに来ないのが
一番たちが悪い。
この子のお母さんはもうこの子に会いに来ないだろう。
もしくは会えないんだろう。
自殺か、人を殺したか、癌などの病気が悪化したか。
理由ははっきりとはわからないが会えないということだけは大体わかる。
それなのに男の子に期待を抱かせるなんて最低だ。
もう会えないとはっきり言われた方がまだましだ。
そんなことを考えながら男の子にもうお母さんは
会いに来ないと伝えた。
しかし、男の子は絶対会いに来るの一点張りで
自分の意思を曲げない。
何度もお母さんはもう会いに来ないから
公園に来る意味はないと説得をした。
かれこれ1時間ぐらいは説得しただろう。
それでも男の子が私の意見を受け入れることはなかった。
それだけお母さんのことを信じているし好きなんだろう。
そう思うと余計この子のお母さんが憎らしくなる。
こんな純粋な子を騙すなんてよくない。
私も10年くらい前にお父さんに「出張でしばらく家に
帰ってこれないけど元気にするんだぞ」と言われた。
だけど、全然帰ってこなかったから2年前くらいに
お母さんにお父さんはいつ帰ってくるのと聞いてみた。
するとお母さんはお父さんは海外に手術を受けに行って
失敗して亡くなったと教えてくれた。
もともと成功率の低い手術らしくてお父さんは
死ぬ覚悟もしていたらしい。
それを聞いて私はすごい悲しかった。
嘘をつかれた悲しみともうお父さんには会えないという
現実を突きつけられて一年くらい塞ぎ込んでいた。
そんな経験もあるからこの子にはそんな思いをしてほしくない。そう思い、私は
「じゃあこれからは私も毎日君のお母さんが戻ってくるの
一緒に待ってていいかな?」と聞いてみた。
男の子は少し考えたあと「寒いのにいいの?」と言った。
そんなの大丈夫に決まっている。
少しでも現実を知った時の辛さを和らげてあげられると
思えば全く苦ではない。
1年でも10年でも待ってやる。
この男の子のお母さんが帰ってくるまで。