チャレンジ61(時間よ止まれ)
食器洗いをしていて、つい手がすべった。時間よ止まれ、と思っても、もう遅い。時はスローモーションのように、ゆっくりと流れる。気に入っていた小鉢が、鈍い音を立てて落ちた。
チャレンジ60(夜景)
青森県の大鰐温泉(おおわにおんせん)というスキーリゾートに、夜景が美しいホテルがある。秋が深まった頃に訪れた。カーブの多い山道を登りきった所に、おしゃれな建物がある。夕食の時、レストランから見た夜景が忘れられない。派手さはないが、都会とは違う風情がある。深い夜の底に、点々と宝石をちりばめたようだった。静けさに吸い込まれる思いがした。
チャレンジ59(花畑)
ひまわり畑に行ったことがある。種を取る直前で、花の盛りは過ぎていた。びっしりと種をつけ、重みに逆らわず、うつむいた感じに咲く姿は、胸に迫るものがあった。
ひまわりの種を食べながらビールを飲むと美味しいが、最近は食べるのをやめた。あの時のひまわりに、自分の老後を重ねたから。あんなふうに年を取りたい。
チャレンジ58(空が泣く)
男は人前で、涙を見せてはいけない。悲しみをこらえるものだ。そう言われた時代があった。雨の日には、涙を見せても周りが気づかない。空が泣いている、大きな雨粒が音を立てて打ちつける。悲しみを表に出せるのは、空と一緒に泣く時だ。
チャレンジ57(君からのLINE)
ガラケーからスマホにして、4ヶ月になる。メッセージアプリにも慣れてきた。スマホを持ちたくないと思っていたが、それなりに適応できている。家族からは、メッセージアプリだと既読がつくのが便利だから、早くスマホにしてほしいと言われていた。
初めて送った文面は、こんにちは。だった。
家族からは、届いたよ😄と返事が来た。
いまも文字入力は苦手だ。句読点を打とうとして、や とか ら になるのは、しょっちゅうだ。同年代の友人に愚痴を言うと、
スマホの感度が良すぎるんだよね。
との返事が来た。同感だ。
私が「書く習慣」に参加したのは、文字入力の練習と、頭の体操のためである。予想を上回る「読みたい」を頂き、驚くと同時に、幸せに思っている。