ジョギング程度の速度しか出せず、瞬間的な加速度は常に一定で体重は36kg以下。飛び立つエネルギーはない。今のボクは栄螺みたいに蓋を閉じて、現実にへばりついているだけだから。



題『君と飛び立つ』

　祖母のお好み焼き。生焼けだったり焦げてたりしたけど美味しかったな。もう一度食べたかったな。



題『きっと忘れない』

「やりたいこと全部我慢して頑張ってきたのになんの意味もなかったから。ずっと辛い思いして必死になって頑張ったきたのに全部むだだった。まいにち辛くて苦しくて食べれなくて座ってることしかできなくて、いっつも倒れそうだ、具合悪い、怒られるんじゃないかってビクビクして、お風呂も入れないしテレビはいつも占拠されてて、まいにち舌打ちとゲップと相撲と野球の音ばかり流れてて罵声の中で縮こまってる。もうやんだ、もうい、あとつかいた。はやく楽になりたい。今日ははじまったばかりだけど早く今日が終わらないかな、もうなんの未練もないからさ、はやく楽になりたいな」




題『なぜ泣くの？と聞かれたから』

　先週の金曜日に兄が捕まった。最も弱い私が家族で唯一逃げ続けている。音もなく忍び寄る恐怖。コロナの足音は聞こえない。



題『足音』

　体感気温が25℃以上ならば夏日である。ならばハウス栽培された野菜や果物にとって夏は終わらない。
ゆえに秋はない。




題『終わらない夏』