たくちー

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7/1/2025, 7:39:14 PM

匂いは過去との比較だ。洗濯物は無臭で良い香り。
かつてイグサの香りがした客間は、積まれた段ボールと雑誌の束により、どこかへ飛んでいってしまった。亡くなった祖母の部屋は、いまだに当時の映像を想起させる。夏の匂いはどこか懐かしい、少年時代を彷彿とさせるノスタルジックな匂いだ。おたまじゃくしを探しに田んぼに向かう笑う少年の幻影が私の背後から追い抜いていった。


題『夏の匂い』

6/30/2025, 7:40:04 PM


カーテンは驚くべき生存戦略を持っている。断捨離の際に脳裏に浮かぶことが一度もなかった。誰にも意識されずに西日や月光から守っている。まるで影の主人公のようだ。そんな存在でありたい。

題『カーテン』

6/29/2025, 7:55:49 PM

《青リンゴとオオカミ》

テーブルに3個のリンゴが置いてあった。1*3=3
「うまそうなリンゴだなあ」1つ食べる。1*2=2
「ほんとうにうまい」1つ食べる。1*1=1
「とまらない」1つ食べる。1*0=0
しまった。すべて食べてしまった
代わりに青リンゴを置いておこう
1*(-1)=-1
1*(-2)=-2
1*(-3)=-3

これだと色でバレてしまうな
魔法で赤くしよう
「リンゴよ!赤くなれ!」(-3)*(-1)=3

なんと青が赤になりました。真っ赤なウソです
「これでだいじょうぶだろう」
オオカミは帰っていった。

これはいけない。魔法を解きましょう

ベクトル反転!
向きよ!逆向きになりなさい

1*3*(-1)=-3
マイナスは魔法の言葉。青く深い神秘の魔法


題『青く深く』

6/28/2025, 7:29:25 PM

夏の朝、雀と鴉の二重奏(デュエット)の間隙にカッコウが鳴いている。まもなくセミの独奏(ソロ)が始まるだろう。玄関を開けて家に入ると弾力のある空気が「おかえり」と迎えてくる。大黒柱は額と頬の脂でツヤツヤしており、黄ばんだ半袖にプリントされた河童は釣り糸を垂らして出番を待っていた。夏の始まりは近い。


題『夏の気配』

6/27/2025, 7:42:07 PM


「ふぅ...」。ひと息つく。
コーヒーを飲み、かじりかけのパンを口に放りこむ。
とりあえず午前中のノルマであった50人は終わった。
 人は『〜へ!』と聞くとプラス思考で考えがちだ。現実に不満を抱き、自分が主人公の世界を夢想する。
いっそのこと、こう書き直そうか?
 
題『まだ見ぬ世界へ!』
     ⬇️
題『ようこそ!アットホームな世界へ!』

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