たくちー

Open App
6/14/2025, 1:09:36 AM

「チリンチリン」
鈴の音が聞こえる。近くの山道をマウンテンバイクが走っていた。おもわず身がこごまる。電気ショックの夢が駆け抜けた。
(チリンチリン)
ほれ幻聴の鈴鳴りぞ。
体毛を貫く吹雪の夜、我が子の餌が欲しかった。ぐうぐうと無言のメロディが私だけに聞こえていた。

題『君だけのメロディ』

6/12/2025, 7:37:53 PM

暖かみを帯びた風は唄い手のように伸びやかで心地よかった。久々に見た彼女はすこし大人びていた。以前は見向きもされなかったが、手を振ると彼女の黒瞳が包囲磁石のようにピタリとこちらを向いた。身体を揺らせば、それに合わせてクルクル、クルクル、狂い舞。猫撫で声でトロンとした目つきとなる。私はエネコログサ。別名ねこじゃらし。

題『I love』

6/12/2025, 4:41:39 AM

白光りする円盤が地表近くをユラユラしていた。鴉が存在感を放つ夜明け前、小雨が視界をちょっと叩きはじめた。日課のジョギング中のことだ。目の前に現れたのは発光する首輪をつけた大型犬である。体毛は濡れてスラリとしており、道草を喰んでいる姿は神々しい。天の国に迷い込んだのだろうか。軽く会釈をしつつ、徳を積んだ気分になった。早起きも悪くない。

お題『雨音に包まれて』