愛があればなんでもできると思ってた頃の私へ
結論から言うと、その愛は終わります。
あまりにもあっけなく。
終わったことにもきづかないうちに。
思い出もいずれ消えます。
ずっと好きだと思っているその人の顔も声も匂いもだんだん思い出せなくなります。
でも時々、思い出したりします。
白い毛並みのの猫を見た時。
ふわふわのオムライスを食べた時。
お気に入りだったワンピースを着た時。
店で聞き覚えのあるBGMが流れた時。
そして少しだけ感傷的になります。
だから精一杯愛してね。
愛しても愛さなくてもいつか別れるのだから。
明日世界が終わるなら、美味しいものを食べたい。
会いたい人に会いに行きたい。
やりたいことは全部やりたい。
そんな気持ちで生きてる日々。
最愛の君へ
優しくしないでね。
なんとなく無理してるのわかるから。
いい人にならないでね。
君がどちらかといえば悪人なの知ってるから。
そういう私もどちらかといえば悪人だから。
優しくないし、いい人でも無いけど。
君のこと誰よりも好きだと思う。
もう一度だけ言うけど、優しくしないでね。
他の人には。
だって嫉妬するから。
これ以上無いほど退屈な夜には、刹那の楽しみのために何もかも投げ出せる気がした。
"全部くだらないよ。だから二人で逃げ出そうよ"
そんな戯言を言って笑って手を取ってくれる誰かを待ち続けていた。永遠に忘れたくないと思う夜の到来を待って待って待ち続けた。夢ばかり見ていた。夢だけを見ていた。
そうして、気づいた。
そんな夜は来ないこと。
待っていても誰も来ないこと。
そう、待っている必要なんて無かったの。
掴みに行こう。一人でも、楽しいところはきっと楽しい。行きたい場所に行くことに、欲しいものを手に入れることに、何の躊躇も諦めも必要なかった。
そんな当たり前のことに気づいた私は、まだ19で、この世界のどこにでも手を伸ばせる場所にいて、まだ死ぬにも逃げ出すにも足りないほど傷ついていなかった。
刹那でもいい。後悔なんてしない私は。
軽やかに踏み出した右足が、カツンと気持ちの良い音を鳴らした。