海へ
海が好き
青くて広い
波がキラキラ光ってる
水はまだちょっと冷たい
息をいっぱいに吸い込むと、潮の匂いが鼻腔に広がった
爽やかな風に、悠々と飛ぶカモメ
全部大好き
海が好き
ずっと海に、なりたかった
もう涙は流さない
私は笑って、海に向かって駆け出した
もう少しで私の夢が叶う
辛いことはもう何も無い
痛みなんて全部忘れて、波をかき分け進んでいく
キラキラで、美しくて、そして自由だ
___________海へ
裏返し
大好きなあの子が、男と歩いてた。
背が高くて、オシャレで、何だか君とお似合いな気がして悔しかった。
いつもの帰り道、君に聞いてみた。
______僕のこと、好き?
「嫌いじゃないよ」
君はそう言って、僕をみて困ったように笑った。
そういうとこ嫌いじゃないよって、笑いながら君が言うのが好きだった。
でも、そのとき知ってしまったんだ。
嫌いじゃないを裏返しても、好きが隠れているわけじゃないってこと。
「あの子みたいに細くなりたい」
「ふっくらしてて羨ましい」
「二重綺麗でいいな」
「一重の人ってかっこいいよね」
「兄弟いるの羨ましい」
「一人っ子が良かった」
「ママなんていなくなればいいのに」
「私にもお母さんがいたらな」
「もっと長く生きていたい」
「もう、死にたい」
今日もどこかで、ないものねだり
好きじゃない。
あんなやつ、全然好きじゃない。
意地悪だし、からかってくるし、バカだし。
そもそも私のタイプじゃない。
好きじゃない、好きじゃない、好きじゃない。
でも知ってる。
もう、気付いてる。
本当は大好きだって。
私にとって、貴方との時間は宝物。
毎日が楽しくて、笑って、笑って、笑って。
なんで笑ってたのかなんて、今となっては何一つ思い出せない。
けどもちろん全部が全部楽しかったわけじゃない。
嫌いになったこともある。
絶交だ、なんて口聞かなくなったこともあったっけ。
私たちのことだから、これからまた喧嘩することもあるだろう。
けど、きっと、きっと大丈夫。
だって雨の後にはきっと、綺麗な虹がかかるから。