ちょっと長いですが悪しからず。
私の特別な人は、世界史の佐藤先生。
動物に例えると……ペンギン?
50代くらいの男性で、声がおっきい。
今日は佐藤先生について話したいと思う。
小学校、中学校と、私は社会が苦手だった。
最低点数は、確か44点?(なお、数学よりは高い。)
ずっと苦手科目だと思っていたが、高校生になるとそれは一変した。
歴史総合、そして公共の授業……。
楽しくって仕方がなかった。
迷わず文系を選んだ。世界史を選んだ。
憂鬱な月曜日も、世界史があったから楽しめた。
大学に行きたい理由なんか無かった。
今は、社会学を学びたい。
目標があるから、勉強も頑張れる。
先日高校2年生を終えた私は、来年度の世界史のクラスを心から楽しみにしていた。
3年生になると、世界史の授業が週4回になるのだ。
(今年は週2〜3回しか無かった。)
友達とも楽しみだね、と話してた。
誰かが言った。
「先生、今年離任するんじゃないかな。」
最初にそれを聞いたときは、まさかね、と思った。
そして突然不安になった。
私の通う高校は先生の母校であり、先生は赴任して8年目になる。
そして先生は今年、私のひとつ上の学年である、3年生の学年主任を務めた。
条件は、十分すぎる程に揃っている。
世界史を受けている友達は、みんな佐藤先生が好きだった。
親しみやすいわけではないが(ちょっと怖い)、授業が分かりやすくてタメになるし、話も上手い。
講義室の大スクリーンを使って行う先生の授業が、何よりも好きだった。
口々に、いなくなったらどうしよう、と言った。
私もそう思った。
もし先生がいなくなるって分かってたら、最後の授業をもっと惜しんで受けれたのに……。
半分諦めつつも、どこか期待をしながら、遂に離任式の日を迎えた。
職員移動の記事が出る前だったので、最後まで先生がいなくなるかは分からなかった。
体育館に集まると、友達と一緒に辺りを見渡した。
ここに先生がいれば、離任式が始まったときに先生は入場して来ない。
「佐藤先生、いる?」
「いや、いない。」
動悸が止まらなかった。
どうしよう、どうしよう。
いなくなったら、どうしよう。
離任式が始まった。
不安は……もちろん的中した。
鳴り響く拍手の中、先生は3番目に入場してきた。
私は途端に崩れ落ち、盛大なため息が盛れた。
先生ステージ似合わないな、なんて関係がないことが頭に浮かんだ。(先生は教室も似合わない)
先生のスピーチは、正直ほとんど覚えていない。
ただ、8年間の思い出と感謝の気持ちを、誇らしそうに述べていた。
私はというと、先生が壇上に立った途端涙が溢れ、式が終わるまでずっと泣いていた。ずっと。
積極的ではない性格な私は、学年も違う、仲がいいわけでもない先生に話しかけに行くことは出来なかった。
やっぱり行けばよかったな、といまは思う。
でもあの日は先生の顔を見るだけで涙が止まらなかったから、やっぱり無理だったかもしれない。
私は、今年受験生になる。
きっと志望校に受かってみせる。
そしたら次は私が、先生を目指して見ようかな。