陽向

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3/23/2024, 2:46:43 PM

ちょっと長いですが悪しからず。





私の特別な人は、世界史の佐藤先生。



動物に例えると……ペンギン?

50代くらいの男性で、声がおっきい。




今日は佐藤先生について話したいと思う。




小学校、中学校と、私は社会が苦手だった。

最低点数は、確か44点?(なお、数学よりは高い。)




ずっと苦手科目だと思っていたが、高校生になるとそれは一変した。




歴史総合、そして公共の授業……。




楽しくって仕方がなかった。



迷わず文系を選んだ。世界史を選んだ。

憂鬱な月曜日も、世界史があったから楽しめた。




大学に行きたい理由なんか無かった。


今は、社会学を学びたい。


目標があるから、勉強も頑張れる。





先日高校2年生を終えた私は、来年度の世界史のクラスを心から楽しみにしていた。


3年生になると、世界史の授業が週4回になるのだ。
(今年は週2〜3回しか無かった。)



友達とも楽しみだね、と話してた。




誰かが言った。





「先生、今年離任するんじゃないかな。」





最初にそれを聞いたときは、まさかね、と思った。


そして突然不安になった。




私の通う高校は先生の母校であり、先生は赴任して8年目になる。

そして先生は今年、私のひとつ上の学年である、3年生の学年主任を務めた。


条件は、十分すぎる程に揃っている。





世界史を受けている友達は、みんな佐藤先生が好きだった。


親しみやすいわけではないが(ちょっと怖い)、授業が分かりやすくてタメになるし、話も上手い。


講義室の大スクリーンを使って行う先生の授業が、何よりも好きだった。



口々に、いなくなったらどうしよう、と言った。


私もそう思った。


もし先生がいなくなるって分かってたら、最後の授業をもっと惜しんで受けれたのに……。





半分諦めつつも、どこか期待をしながら、遂に離任式の日を迎えた。



職員移動の記事が出る前だったので、最後まで先生がいなくなるかは分からなかった。



体育館に集まると、友達と一緒に辺りを見渡した。

ここに先生がいれば、離任式が始まったときに先生は入場して来ない。




「佐藤先生、いる?」


「いや、いない。」



動悸が止まらなかった。


どうしよう、どうしよう。

いなくなったら、どうしよう。




離任式が始まった。




不安は……もちろん的中した。


鳴り響く拍手の中、先生は3番目に入場してきた。



私は途端に崩れ落ち、盛大なため息が盛れた。


先生ステージ似合わないな、なんて関係がないことが頭に浮かんだ。(先生は教室も似合わない)




先生のスピーチは、正直ほとんど覚えていない。


ただ、8年間の思い出と感謝の気持ちを、誇らしそうに述べていた。




私はというと、先生が壇上に立った途端涙が溢れ、式が終わるまでずっと泣いていた。ずっと。




積極的ではない性格な私は、学年も違う、仲がいいわけでもない先生に話しかけに行くことは出来なかった。

やっぱり行けばよかったな、といまは思う。



でもあの日は先生の顔を見るだけで涙が止まらなかったから、やっぱり無理だったかもしれない。




私は、今年受験生になる。

きっと志望校に受かってみせる。




そしたら次は私が、先生を目指して見ようかな。