わたしは忘れないぞ。
すれ違いに漢字があると言うことを。
擦れ違い。
最初はこう答案用紙に書いた。
だが、いや、すれ違いって擦れないやん。じゃあ据れ違いか。と思いこの答えを提出してしまったんだ。
いや、擦れ違いかよ。
――すれ違い
今朝はやけに早く起きた。普段は6時半に起きるところを5時に。でも不思議とすっきりしていて、二度寝をしようとは思わなかった。
だかららしくもなく、紅茶を淹れてみた。姉からもらったアールグレイにお湯を注いでベランダに折りたたみ式の椅子とテーブルを出す。閃いて、昨日から読み始めた本を慌てて持ってきて一息をつく。
きっとこれは夢のせいだろう。
昨日金曜ロードショーでアリス・イン・ワンダーランドを観たせいか、旧友たちと楽しくお茶会をする夢を見たのだ。それは素敵なお茶会で、みんなドレスを着ているのだ。髪もしっかりセットしてあって、アップルパイをみんなで分けて食べた。そして最後には「また会おう」なんて言って別れた。
「お茶会、やってみようかな」
私は紅茶のカップを持ち上げ空を見上げながら言った。
よく晴れた、秋のことだった。
――秋晴れ
❥マッドハッターとか、ウィリー・ウォンカとか、ちょっととち狂った人が私は大好き。
死と生の瀬戸際をさまようと
あんなにも綺麗な景色が見えるのね。
――やわらかな光
彼女と同じ空間にいると途端に行動を制限される。シャーペンを持つにも音を立てないようにしなくてはいけないし、スマホなんていじるなんてとんでもない。鼻だってまともにすすれないし、彼女を見ては絶対にいけない。
いつだって彼女はこちらを見ているのだ。
暖かいものなんかじゃない。その逆。
冷たくて、鋭い眼差しを。明らかな軽蔑を。
彼女が部屋から出ていくとどっと疲れて姿勢を崩す。しかしまた姿勢を戻す。いつ彼女が戻ってくるかわからない。そのことがたまらなくこわいのだ。
もうやってらんなくて、テレビをつける。
どうやら近くで火災があったらしい。厚化粧のニュースキャスターが言った。
「いっそのこと全部燃えてくんねえかな」
――鋭い眼差し
後で書く
――高く高く