7/13 お題「優越感、劣等感」
「優越感を感じやすい人って、劣等感も感じやすいよね」
「自分が相手より優れてるか、劣ってるか、常に気にしてるわけだから」
「人に見下されてると感じる人は、常日頃、人を見下す人」
「そんな人間が誰かに好かれたり、誰かと上手くやって行くなんてできるわけ」
「うるさい!」
ドン、と両手で机を叩いた。
心臓がばくばくと音を立てる。荒い息が口から漏れる。脂汗が額ににじむ。
部屋には、誰もいない。
(所要時間:5分)※構想除く
7/12 お題「これまでずっと」
これまでずっと、あなたの下にいた。
これまでずっと、あなたの陰だった。
これまでずっと、あなたを追っていた。
それもここまでだ。
わたしの影が、動き出す。
あなたをとらえ、置き去りにし、わたしを光のもとへ歩き出させるために。
あなたを、魂の底から忘れ去るために。
あなたをこれ以上、憎み続けないために。
(所要時間:6分)
7/11 お題「1件のLINE」
ピコン、とスマホが鳴った。
別れた彼女からかと手を伸ばす。未練がましいけれど期待していた。
『元気にしてるか』
祖父からだった。
元気ではない。けれど、80代にしてスマホを使いこなすスーパーじいちゃんからの何気ない気遣いは、不思議と心に沁みた。
俺はまだ、1/3も生きてはいない。祖父の何でも楽しむ姿勢を思い出す。人生はこれからだ。楽しい事は、まだまだきっと沢山ある。
『ありがとう』
返したLINEはすぐに既読がついた。
(所要時間:6分)
7/10 お題「目が覚めると」
目が覚めると、夜だった。
まあ、休日にはよくある話だ。ちょっとゆっくり寝たら夕方だったなんて事はままある。今日は午後から昼寝でもしたんだったかな。
時計を見ると9時。これはちょっと寝すぎた。夕飯時をオーバーしてる。とりあえずテレビを点けた。
「―――本来の日の出の時間から既に3時間が経過しています。先程各国から共同で発表されました、魔王を名乗る者からの声明は―――」
「は?」
耳と目と正気を疑った。新手のドッキリか。そう思った瞬間、テレビの画面から何かが飛び出して来た。
「わっ?!」
「勇者様!」
顔に貼り付いたのは、羽の生えた小さな人間型の―――妖精?
「勇者様、大変なの! 世界を闇から救って!」
こうして、しがないアラサーのプログラマーは、世界を救う旅に出る事になる。
(所要時間:8分)
7/9 お題「私の当たり前」
「好き!」
「はいはい」
「大好き〜!」
「わかってるよ」
「ずっと一緒だよ!」
「そうだね」
好意はストレートに伝える、それが彼女の当たり前。
それを適当に受け流す、それが私の当たり前。
たまには彼女みたいに伝えてみるのもいいのかな、と思わなくはないけれど、どうにも照れくさい。
けれど、彼女に決して負けないぐらい、私は彼女が好きだ。
私の当たり前を、いつかぶち壊す時が来るのかな。
(所要時間:6分)