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3/1/2024, 10:24:58 AM

3.欲望

食欲が強いならまだしも、承認欲求が強いとは困ったものだ。私はそのことを自分でも自覚している。困ったことに、食欲はただ自分が好んだものをひたすら食していたら済む話だが、承認欲求はそうはいかない。食欲は自分の行動で完結するが、承認欲求は他人を巻き込んで満たしていくものだ。しかも、自分を認めてほしいなんて自己中心的なんだ。それでも私は認められたい。目立ちたい。人間に興味を持ってもらいたい。そんな思いが頭の中を駆け巡る。今まで散々自分を貶してきたが、欲を持つことは人間である証拠であり、特性であり、本来の姿であると考えている。欲があることは全く悪いことではない。その欲を他人にぶつけて被害を被らせることが良くないのである。そう考えながら私は親指をひたすら画面に打ち付けた。欲を満たすべく。

2/29/2024, 6:15:08 PM

2.列車に乗って

まだ猶予はある。私は列車に乗ってる間、このようなことを呟いた。賞を受賞したという事実はとても嬉しいが、その反面、インタビューの受け答えが困る。さっきから頭の中はそんなことでいっぱいだ。せっかく世間に認められたのに一瞬にして私の言動で名誉が吹っ飛ぶかもしれない。そんなことを考えると居ても立っても居られない。景色は私が動かずとも車掌が変えてゆく。どうにもできない時間が流れるのなら事故でも起きてしまえとも思った。そんな独りよがりなことを考えながら私は足を小刻みに震わせていた。

2/28/2024, 12:15:57 PM

1.遠くの街へ

車を降りて地面に足をつけると私は恐ろしい感覚に襲われた。自分の故郷の地面と全くもって違う。悲しみを覚えつつ、私は一歩足を動かした。それから喉に骨が刺さったような違和感とともに私はひたすら歩く。見慣れない景色に少し興味を示しながらも、故郷から離れた悲しみを感じる。これから何が起こるかわからないが、私は新転地で生き続ける。故郷で見つけた希望を探すようにこの地でも。弟の嬉しそうな顔が続くにつれ、私の絶望感は高まってゆく。不安を抱えつつもここに身を置くことを承知し、居住場所を探すことにした。