2/29/2024, 6:15:08 PM
2.列車に乗って
まだ猶予はある。私は列車に乗ってる間、このようなことを呟いた。賞を受賞したという事実はとても嬉しいが、その反面、インタビューの受け答えが困る。さっきから頭の中はそんなことでいっぱいだ。せっかく世間に認められたのに一瞬にして私の言動で名誉が吹っ飛ぶかもしれない。そんなことを考えると居ても立っても居られない。景色は私が動かずとも車掌が変えてゆく。どうにもできない時間が流れるのなら事故でも起きてしまえとも思った。そんな独りよがりなことを考えながら私は足を小刻みに震わせていた。
2/28/2024, 12:15:57 PM
1.遠くの街へ
車を降りて地面に足をつけると私は恐ろしい感覚に襲われた。自分の故郷の地面と全くもって違う。悲しみを覚えつつ、私は一歩足を動かした。それから喉に骨が刺さったような違和感とともに私はひたすら歩く。見慣れない景色に少し興味を示しながらも、故郷から離れた悲しみを感じる。これから何が起こるかわからないが、私は新転地で生き続ける。故郷で見つけた希望を探すようにこの地でも。弟の嬉しそうな顔が続くにつれ、私の絶望感は高まってゆく。不安を抱えつつもここに身を置くことを承知し、居住場所を探すことにした。