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9/5/2023, 9:53:20 AM

        星のひらめき
        ひとみは瞬く
       怪しくつややかな声
        紅唇が囁いた

     「この光は終を知らぬぞ」


▶きらめき #5

9/2/2023, 12:05:56 PM

 命の灯火はきっかけさえあれば
 わりとすぐに消えてしまうけれど、
 心の灯火というやつは
 そう簡単にゃ消えてくれないらしい。


▶心の灯火 #4

9/2/2023, 3:49:20 AM

 LINEが開けないスマホを手に入れた。他のアプリは難なくすべて開けるのに、どうしてもLINEだけが開けないらしい。
 そんなものをどうやって手に入れたのか?
 貴女なら開けると思うから、と持ち主の家族から手渡されたんだよ。なにより貴女に持っていてほしい、ってね。

 あの時はすごく感激して、「私が絶対に開いてみせる!」って意気込んでた。開けない原因もわかっていたし、どうにかできると信じていた。
 ……うん、最初はそう思ってた。

 なのに! なんで! 開かないっ!

 昔に本人から教わったパスワードを何通りも試してるけど、どれも反応ないんですけど。そろそろ極太な私の心も折れそうだよパトラ◯シュ。
 それに、履歴全部消しといて~、なんて言ってた癖にメモのひとつも残さないなんて……ほんと信じらんない。それが頼んだ側の対応か?
 あーもうっ、ほんと嫌んなっちゃう!

 匙のようにスマホをベッドに放り投げ、次いで自身もベッドに飛び込むと、スプリングが音を立てながら私を支えた。
 スマホは手を伸ばせば届く距離にあったので、もう一度、今度はまた違うパスワードを打ち込んでみる。
『1020』
 すると『パスワードが違います。三時間後にやり直してください』という注意の文字が踊り出た。
 うーん、これも駄目なのか。

 あれも違う、それも違う、これも違う、って。もう覚えてる分は全部試したのにどれも引っ掛からないとは。
 ゔ~、本当、あの子ってば……。

「なんでこんな面倒事を残して逝っちゃうかなあ」

 これじゃあ、いつまで経っても顔向けできない侭じゃんか。


▶開けないLINE #3

9/1/2023, 8:05:13 AM

 僕はきみを愛することはできないけど、他のなによりもきみを優先しよう。大切に守り、慈しみ、そばに居続けよう。
 だから、こんな不完全な僕をあいしてほしい。なんて。
 そんな自分勝手な望み、きみを前にして言えるわけがなかった。


▶不完全な僕 #2

8/31/2023, 12:05:03 AM

 甘い香りがした。
「あれ、なんか今日はいつもと違う匂いだ」
「ふっふーん! よくぞ聞いてくれた!」
 彼女は、今日の私はいつもと違うんだぞ!と自慢げに胸を張る。
 その動作ひとつで、ふわりと香る匂い。いつもの彼女とは違う匂い。
「今日はね、香水を付けてみました」
 どうやら、調香師の元へと赴いてオーダーメイドで作ってもらったらしい。
 何故わざわざ……とか、高かっただろうに……とは思うけど、今日のために準備してくれたことが只純粋にうれしかった。
「だって、特別な日だからさ。今日くらいは許されるかな~って」
「あはは、そうだね」
 なんたって、今日は僕たちの初デートの日だ。
「あーあ、きみも香水付けてみたらいいのに。匂いが違うと雰囲気も変わるんだって、調香師さんも言ってたよ~」
「それ、いま言わなきゃダメ?」
 もっと早くに言ってくれれば僕もちゃんと準備できたよ? と髪をいじくりながら唇を尖らせる。そんな僕を見て、彼女はひどく可笑しそうに笑った。
 ああ、僕はしあわせものだなぁ。
「仕方ないなぁー、次行くときは一緒に行こっか。きみも絶対に楽しめるよ!」
「そう? ……じゃあ期待しとこうかな」
「うんうん!」
 それじゃあ行こうか。
 僕たちは、柔らかくしっかりと手を繋いで、少し歩いた先にある映画館を目指した。


▶香水 #1

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