寒いから一緒にいようよ
そう言うだけでよかった。
それも言えなかった。
いなくなって 二度目のクリスマス
12/18 冬は一緒に
「ばかもかぜをひく」
「つまんないこというね」
掠れた風邪声で返されたけど病人に悪口を言ったことは後悔してない。
「うつるから来なくていいのに」
「うつったら学校休めるし」
「元気でも休むくせに」
布団からこっちを見上げる目が笑いに細められた。そっちもじゃん。共犯のくせに今日はこっちだけ悪いみたいな顔をして。
また寒い公園でだらだらと時間つぶそーよ。
「さしいれ」とコンビニで買ってきたプリンとプラスチックのスプーンを枕元に置いてやった。
2023/12/16風邪
積み重ねたパンケーキと高く彩る白いクリーム。
「こーゆーのってもっと平べったいパンケーキな気がする・・・何が違うんだろ」
「かなり分厚いね」
更に積み上げられたパンケーキはふわふわとしていて三枚も重ねたら口の中の水分は全て持っていかれそうだ。
「あとさぁ、クリームない」
「コンビニで見たことある」
「これから買いにいくの?生クリーム泡立てるやつないじゃん」
「振ればクリームにならない?」
「ならない。クリームになる前に腕がちぎれ飛ぶと思う」
あーだこーだ言っているうちに六枚目のパンケーキが完成。香りは最高。味だってキギョウドリョクでいいはずだ。
あとはお店のパンケーキのようにデコればいいのだが、
「コンビニで適当なケーキかシュークリーム買ってきてクリームをパンケーキに塗り付ける」
「それはない。マジでない。絶対ない。だったら腕ちぎる」
かわいい夢のようなパンケーキはかないそうもない。
でも目の前にこいつが笑ってる。
それでいいかな
2023/12/04 夢と現実
ロマンチックじゃなく適当に2人で朝日を見た。
「あそこ。紫とピンク混ざってる」
小学生みたいな言葉で言うだけ言って黙っちゃった。
冬空は夏と違ってゆっくりと夜が押しのけられていくからキレイだよね。
そう思って、思いついて、
「そうだね、キレイだね」
って言ったら、「そう、きれい」と言い直してた。
あんたの中にその言葉が残るといい。
次は誰かに「きれい」と言えるといい。
2023/12/02 光と闇の狭間で
はっきり言ったらあんたは遠くに行っちゃうから絶対言わない
そう思っていたはずなのに。
その時の自分はクリスマスに踊らされたのか、何も変わらないまま終わりそうな一年に焦ったのか、何か「いける」と思ってしまったのか。
時が戻せるならあの時の自分を殴りつけたい。
ぬるくゆるく繋がっていたあの時間は一度途切れたらもうおしまい
2023/11/28 終わらせないで