愛情と執着を勘違いしている馬鹿がいる。どこにでもいる。
自分がきれいなつもりで訳知り顔でくっついてくる馬鹿。
早く離れないといつかのあいつみたいになる。
けど執着ってのは「熱」みたいなものだからそこにあると気持ちがいい。
もう少しこのままにしてもいい。
愛情を知らないバカなあんたに教えてあげる。
愛情ってのは「そこにいていい」って言葉にしないでも伝えることだ。
いっしょにいて眠れるってことはあんたは溺れてるってこと。
2023/11/27 愛情
びねつみたいな温度で触れるあんたの手が好き
だからだめになる
2023/11/26 微熱
ちょっと変わったあいつは太陽の下は似合わない
「なんてことはないし。むしろ溶け込んでるし」
土曜日の昼下がりの公園は親子連れが多い。
そんな中で1人ベンチで寝ているあんたを見つけたのは本当に偶然。
(家にいられないなら呼んでくれたら行くのに)
もちろん起きてるあんたに言うことはない。言うつもりもない。
あんたがこっちに手を伸ばすまで待つつもり。
だから寝てるあんたの隣に、しれっと座ってやった。
あー、太陽ってあったかい。
2023/11/25 太陽の下で
「なんか似合わない」
「部屋にある服でいちばんあったかそうだった」
「でも似合わない」
「お前の口はそれしか言えねーの? なら黙ってろ」
わかった。黙るよ。
黙って背中から抱きしめた。家のクローゼットの匂いかな。嗅いだことがありそうな匂い。ずっと押し込められてたんだろうな。
「おい、じゃま。はなれろ」
「……」
「おーい…くそっ…はなれろ…」
「…」
「あーもう…なんか言えよ」
黙ってろって言われたし。
2023/11/24 セーター
「髪の色明るくなってない? 色落ちてる」
「あー? 前に行ったのいつだっけ」
びよういん、と口にしながら毛先を摘む。日に透かされて金髪みたい。いたんでる。
ぱさぱさと静電気でたってる髪が子供みたいで笑える。
はっきりそう言ってやったら、じ、っとこっち見てきた。何かイヤミを返そうとしてるのかと思って黙って待ってたら、
「おまえの髪、いっつもツヤツヤなのな」
歪んだ唇。嘲笑と微笑みの間。
それ、どっち。
どっちでもいい。その間。またあんたに落ちてしまう。
2023/11/23 落ちて行く