僕の友達は3人居る。
「友達だよね」ずっと一緒に居るが時折その言葉で縛り付けてくるやつ。
都合のいい時だけ声を掛けてくるやつ。
苦しい時、何も言わずそばに居てくれるやつ。
神様が降りてきて、こう言った。きっと上手くいくって。
求めよ、さらば与えられん。つまり、神に求め祈りなさい。そうすれば神様は導いてくださるだろうと。
都合の良い妄想だとは分かっている。それでも、他に縋り付く方法なんて無かったから、私は祈っては都合のいい答えを神様からの言葉だと図々しく思い込んで、現実から目を背け続けた。
私の乾いた心を癒してくれる。
あの人の言葉が、今は欲しくて堪らない。
気が付けば、如何にも動かないスマホの黒い液晶画面をじっと見ている。ずっと通知音が鳴らず夜が更けて日も跨いでしまった。
昨日少し意地悪をしてしまったのはあるかもしれない。ただあの人を眺めてばかりの私に「あの人との話を聞かせて欲しい」と背中を押してくれた友人に申し訳が立たない。今日は休日だし疲れて寝ているのかもしれない、きっとそうだ。否、きっと私が余計にちょっかいを掛けすぎてしまったせいで話すのが億劫になったのだろう。私のせいだ。頭の中で自分を慰めても、次の瞬間にはそれ以上の自責の念や自己嫌悪に押し潰される。
“貴方って不思議ちゃんだよね。”
とか、
“なんかオーラが出てる。”
なんてよく言われる。言われる度にピンと来ない。
だって、私はそこに居るだけだから。
そう、そこに居るだけ。なのに何が違うんだろうって時々思う事があるけれど答えはよく分からなくて、もし答えが出たとしてもそれは曖昧で……
ただ一つ確かなのは、それが私にとっての普通。当たり前。
だから私の視える世界は、皆とは少し違うのかも知れないって考えた。
周囲を見渡してこの眼で視える線、形、色。もしかしたら感触も違うかもしれない。匂いや、触った感じ。味。
よりどりみどり。
でも、誰かと一緒なことが無いって何だか寂しい。
……嗚呼、だからこそ人はこの感覚を誰かと共有したいと感じるのかもしれない。
暗夜に響く足音。とんねるの中だと特に響き不気味さを感じさせる。誰も居ない筈なのに、背後から何かに追われている様な心地さえしてきて次第に歩く速度が早くなり、そろそろ抜けるであろう頃には光へと向かって駆け出していた。
抜けた先には仄かな灯りが点々と、街並みに沿って灯っていた。其れが自分には救いだったのか、背後から感じていた何かはすっかりと消え去って、後には何も残らない。