「神様だけが知っている」
この世は辛いことばかり
娘として母親として
誰も不幸にしたくないから
私はまだこの世界にいる
でも疲れ果てちまった
もう希望に裏切られるのは嫌だ
そもそも希望なんてとうの昔に
持たなくなっちまった
神様だけが知っている
子供に甘々の
困ってる人がいたらつい声かけちまう偽善者の
ニコニコ笑う仮面を外さない道化師の
誰も恨まず憎まなくなった小心者の
私のどす黒い願い
「この道の先に」
花香るほの明るい夜
君とほろ酔いで帰り道を歩いた
ぼんやりとした月が優しく照らす
生あたたかい風がふわり
おでこをなでた
あと何回
あと何回君とこの道を歩くだろう
終わりのあるふたりだと知っていても
今は幸せを噛み締めたい
君がふいに手を繋いだ
幸せと悲しみが同時に
目から溢れた
君は黙って少し力を込めた
「好きだ」
二人で歩くこの道は
どこへ行くだろう
この道の先には目指すゴールなんてないんだ
誰も幸せにできない二人だけど
今だけは素直に、握り返した
「私も」
「日差し」
悲しみに溺れて
何か掴もうとして空を掻いた手に
ほんの少しだけぬくもりを感じた
見上げた先に
あなたがいたから
あなたがいなければ
私
闇の中に消えていた
あなたが柔らかく照らしてくれた
顔を上げるまで照らしてくれた
だから私
今もこうやって息をしているよ
あなたが照らしてくれたから
希望が芽を出したよ
あなたとはサヨナラしたけど
感謝してます
私もいつか誰かを照らすような
日差しでありたい
「窓越しに見えるのは」
夏はさ
できれば涼しいうちの中でダラダラしたいのよ
あんまりクーラーばっかいれてちゃ
いけないんだけど
窓越しに見えるのは夏
今日も窓越しだけで夏を感じていたい
「赤い糸」
君と僕
8年前に初めて出会った
それは運命だった
普段向かわない場所
普段なら会わない人
間違いなく運命だった
もう会わないけど
君が解いた赤い糸
私はまだ握りしめて
手繰り寄せて終わりを確かめることもしなかった
でも
似た人を見つけたり
あなたと話したことを思い出したりしても
もう大丈夫
泣かないよ
先の切れた
手応えのない赤い糸
私も解くね
さようなら